申告が必要な自営業者や、住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)、ふるさと納税(寄付金控除)などの該当者はすでに手続きを済ませている人が多いだろう。しかし、「わが家は関係ない」と申告を見送った人の中にも、該当者がいる可能性は小さくない。

 例えば、医療費控除は「家族で年間10万円超」というハードルが高く感じられるが、所得が200万円未満の人だと基準は「所得×5%」となる。

 前出のファイナンシャルプランナーは、「パートの妻の所得が100万円なら、妻が家族の分を申告することでハードルを『5万円超』まで下げられる」とアドバイスする。

 医療費には、仕送りをしている別居の親の分を上乗せできる場合もある。先進医療や不妊治療、歯科のセラミック義歯や眼科のレーシック手術など、公的健康保険の適用外となる高額治療の費用も対象になる。

 いまなら約1800種の特定市販薬(スイッチOTC医薬品)の購入金額を対象にした「セルフメディケーション税制」も利用できる。対象は解熱鎮痛薬、咳止め、点鼻薬、点眼薬、便秘薬、下痢止め、水虫薬、軟膏など多岐にわたり、購入時のレシートで識別できるようになっている。こちらは「家族で年間1万2千円超」から申告が可能だ。

 ただし、特定健康診査や定期健康診断、予防接種などを受けていることが適用の条件となり、医療費控除との併用はできないので気を付けたい。

 ほかにも、昨年の台風や集中豪雨で自宅や家財が被災した人なら、損害保険でカバーし切れなかった分を申告すれば、最長3年にわたってその分を所得から控除できる(雑損控除)。

 昨年、会社を辞めて年末までに再就職しなかった人は、申告することで源泉徴収された税金の一部が取り戻せる。年末調整の手続き後に“令和元年中の駆け込み婚”をした会社員も、本人の所得が1千万円以下、結婚相手の所得が123万円以下であれば、申告により、配偶者控除または配偶者特別控除が受けられる。

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