年末調整の書類を提出する際に生命保険料や個人年金保険料・地震保険料の控除証明書、個人型確定拠出年金(iDeCo)の掛け金の証明書を出し忘れてしまった人も、申告すれば控除が適用される。

 公的年金等の収入金額の合計が400万円以下(かつ公的年金を含む雑所得以外の所得が20万円以下)なら原則申告は不要だが、実は、年金受給者も申告したほうが有利になるケースが少なくない。

 例えば、昨年は公的年金の上乗せニーズで毎月分配型の株式投資信託が大きく純資産を伸ばしたが、前出の山本氏によると、「年金収入が200万~300万円でこうした株式投信の分配金や株式の配当を受け取った人なら、配当所得を申告すれば、かなりの確率で源泉徴収された税金が戻ってくる」。年金収入が約200万円の70代男性が株式投信の分配金で年間60万円を受け取っていたとすると、還付金は10万円を超えることもある(妻は専業主婦で男性と同年代とする)。

 申告書を作成するには、給与所得や公的年金等の「源泉徴収票」に加え、医療費や市販薬の領収書、住居の損害額の証明書、配当の支払い通知書などが必要になる(提出義務はない)。 

再発行には時間がかかる可能性があり、紛失した人はすぐに手配しよう。(ライター・森田聡子)

週刊朝日  2020年5月8‐15日合併号