人影がまばらになった繁華街(C)朝日新聞社
人影がまばらになった繁華街(C)朝日新聞社

 緊急事態宣言が発令されても感染拡大に歯止めがかからない新型コロナウイルス。その新しい検査法として期待されるのが「抗体検査」だ。実業家のホリエモンこと堀江貴文氏も検査を受け、その様子を動画サイトに上げている。

 抗体とは、体内に侵入してきた新しい病原体を攻撃するために作られるタンパク質のこと。同じ感染症にかかりにくいのは、この抗体が体内に残っていて、病原体が入ってきたときのために備えているからだ。

「新型コロナの抗体検査では、血液中に新型コロナに対する抗体があるかを調べます。ウイルスがいるかどうかを調べるPCR検査とはまったく違うものです」

 こう説明するのは、長崎大学教授で日本臨床検査医学会の栁原克紀医師だ。同学会では新型コロナの検査を検討する委員会を立ち上げており、栁原医師は委員長として活動している。

 抗体にはいくつか種類があり、今回の検査でみるのはIgM(アイ・ジー・エム)とIgG(アイ・ジー・ジー)。IgMは感染早期に増え、IgGはゆっくりと増えていく傾向がある。

「2種類の検査をして、IgMが陽性で、IgGが陰性なら感染初期、IgMが陰性で、IgGが陽性なら治癒して免疫ができていることになる」(栁原医師)

 この抗体検査にいち早く着目したのが、イギリスやドイツだ。広く抗体検査を行い、陽性の人には「免疫証明書」を発行。行動規制を緩めることなどを検討しているという。社会活動を行える人の数が増えれば、停滞する経済活動の復活にもつながる。「抗体検査」が、社会正常化のカギを握ることになるかもしれない。

 一方、そこまで感染が広がってない日本では、違う活用法があるという。

「抗体検査は、試薬を含んだシートに血液を1滴垂らすだけで判定でき、検査時間も20分ほどと短い。簡便でPCR検査より医療従事者の感染リスクが低いので、診療所でも検査ができると思います」(栁原医師)

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抗体検査普及に立ちふさがる壁とは