それは「司法の見識が疑われる決定である」という一文からはじまる。

 中身は、原発の停止による穴埋めは火力発電で行われるため、二酸化炭素が増えて電気代が値上がりする、伊方3号機は原子力規制委員会の厳格な安全審査に合格している、というもの。

「(裁判長は)四国電力の想定は過小で、それを認めた『規制委の判断も不合理である』としたのだ」と不満そう。けど、産経さん、原子力発電の嘘(うそ)がぽろぽろバレている中でそれいう? 日本の原発は世界一安全だというのも、原発は安いというのも嘘だったわけで。

 記事の最後には、裁判長が今月の25日に退官することまで書いていた。

「近年の原発訴訟で運転停止を命じる決定が定年退職が近い裁判長から出される傾向は偶然か」だって。

 定年だから良い人ぶって、とでもいいたいのだろうか? だったら逆に、理由はどうであれ、裁判長は誰にも忖度することのない定年間際に限る、とあたしは思っちゃったわ~。

週刊朝日  2020年2月7日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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