米国で取材に応じる馬場雄大 (c)朝日新聞社
米国で取材に応じる馬場雄大 (c)朝日新聞社
2020年の顔 1/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
2020年の顔 1/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
2020年の顔 2/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)
2020年の顔 2/2 (週刊朝日2020年1月3-10日合併号より)

 バスケットボール男子日本代表の馬場雄大が、夢の舞台へ駆け上がるまっただ中にいる。2019年に米プロのNBA入りを目指して渡米。今季から下部リーグのGリーグ・レジェンズに所属している。

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 日本出身のNBA選手はこれまで3人いる。田臥勇太(39、サンズ、現宇都宮)、渡辺雄太(25、グリズリーズ)、八村塁(21、ウィザーズ)。ただ、馬場はこの3人とは異なる道のりで最高峰にたどり着こうとしている。

 3人がいずれも米国の大学を経てNBA入りしたのに対し、馬場は筑波大出身。

「雄太や塁よりも無謀だけれど、僕の使命。(NBA入りすれば)日本のバスケットががらりと変わるインパクトを与えられる」

 富山県出身。富山市立奥田中時代の2学年下に八村がいた。富山第一高を経て筑波大では全日本大学選手権3連覇。大学卒業前にBリーグのアルバルク東京に加入した。

 身長198センチで日本選手としては長身ながら、驚異的なジャンプ力と果敢な攻撃力で大学時代から日本代表に選ばれた。父の敏春さんも元日本代表選手のサラブレッドだ。

 米国に初挑戦したのは19年7月。若手の登竜門とされるNBAサマーリーグに参加した。「周りのレベルが高ければ高いほど、そのレベルに行こうとする性格」に火がついた。9月のワールドカップ(W杯)米国戦で日本は大敗したものの、チーム最多の18得点を奪い、満を持して米国に拠点を移した。

 Gリーグ開幕前の10月にレジェンズの本拠があるテキサス州フリスコを訪ねると、馬場は笑顔を見せた。

「苦しんではいる。でもただ過ごしているだけで楽しい」

 英語力がまだまだで、コミュニケーションにも苦しみ、一人でもがく日々だ。それでも、充実感はある。

「まずは米国のバスケットに慣れること。2年後にNBAチームと契約ができるようにしたい」

 W杯では5連敗と世界に打ちのめされた。ただ、得がたい経験は馬場をきっと強くする。

「5連敗でよかった。一個のきっかけでドカンと変われる。20年五輪では違った日本代表の姿を見せられる」

(朝日新聞スポーツ部・河野正樹)

週刊朝日  2020年1月3‐10日合併号