室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。自らの子育てを綴ったエッセー「息子ってヤツは」(毎日新聞出版)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、安倍首相の「桜を見る会」問題をめぐる対応、憲法改正の決意について苦言を呈する。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *

 安倍首相は12月13日、東京都内で開かれた講演で、「桜を見る会」から出てきた疑惑などについて、「国会では政策論争以外の話に多くの審議時間が割かれている。国民のみなさまに申し訳なく思う」と述べたとか。

 また嘘(うそ)いってら。安倍さんが「桜を見る会」について一問一答形式で国会審議に応じたのは、11月8日に田村智子参院議員(共産党)の30分弱の質問に答えた1回きり。

 その後は、夜に急遽(きゅうきょ)行われた官邸での立ち話だけ。疑惑に対しての質問に真正面から答えようとせず、メディアの人間と食事して、懐柔作戦に出たんだよな。

 それにしても、そんな場で「申し訳なく思う」といわれてもね。安倍さんがなんどもくり返す権力の私物化や、法律違反は、謝って済むことなのかしら。

 それらが誤解であるというなら、逃げまわってないで野党の質問に答えたらいい。講演会という場で言い訳をするって、この方、自分を応援する人しか国民だと思っていないんじゃないかしら? 「桜を見る会」ではそういうことも問題のひとつとされているのに、この方はぜんぜんわかっていないのだ。

 安倍首相は国会閉幕のとき、記者会見でまた「(憲法改正は)決してたやすい道ではないが、私の手で成し遂げていきたい」といった。一部へのファンサービスだろう。でも、支持者を大量に呼んだ「桜を見る会」同様、それはおかしいことなのだ。憲法改正は国会が発議するものであるから。

そういえば以前、この方は「私は立法府の長」と何度かいった。やはり、ぜんぜんわかっていない。

 わからないなら勉強をすればいいのに、それはない。長期政権である安倍政権が、力を注いで変えようとしていることは、過去についてだ。

 ファンサービスとして歴史修正をたびたび持ち出したりもそう。なんどもいうと海外にバレるぞ。海外でおなじ話ができるとは思えず、不毛だ。

著者プロフィールを見る
室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

室井佑月の記事一覧はこちら
次のページ