現場にいた組員たちが取り押さえて、駆け付けた警官が身柄を確保した瞬間(提供)
現場にいた組員たちが取り押さえて、駆け付けた警官が身柄を確保した瞬間(提供)
神戸山口組山健組系組員、吉武徹弥容疑者(提供)
神戸山口組山健組系組員、吉武徹弥容疑者(提供)

 16日午後7時半ごろ、大阪市浪速区恵美須西の指定暴力団山口組弘道会系組事務所近くで、同組系の40代の男性組員が男に襲われた。大阪府警は殺人未遂容疑で、指定暴力団神戸山口組山健組系組員、吉武徹弥容疑者(48)を現行犯逮捕した。

【写真】確保された吉武容疑者

 現場は通天閣の近くで、路上にいた数人の組員に、吉武容疑者が背後から体当たりして、包丁で切りつけた。現場にいた組員たちが取り押さえて、駆け付けた警官が身柄を確保したという。

 10月から11月にかけて、六代目山口組側は、神戸山口組の幹部、古川恵一組長を射殺。山健組の組員2人も殺害されるなど何度も襲撃を受けていた神戸山口組。

「六代目山口組にやられっぱなしの神戸山口組が、ついに反撃に転じたのかな」と捜査関係者は言う。

 逮捕された吉武容疑者は実は1997年7月19日、和歌山県田辺市で紀州のドン・ファンこと野崎幸助さんを襲った刺客だったこともある。

 野崎さんは2人組の男に襲われて、かばんをひったくられたが、襲った2人組の一人が、吉武容疑者だ。

「吉武容疑者の共犯者は同年7月の事件から1か月ほどしてもう一度、野崎さん襲って、足を刺し重傷を負わせて、850万円を奪った。野崎さんの事件からして、吉武容疑者は非常に凶暴な人物」(捜査関係者)

 来年1月には、六代目山口組と神戸山口組に対して「特定抗争指定暴力団」と指定される見通し。5人以上で集まったり、組事務所の使用が禁止されるなど厳しい制限がつけられる。

「気になることがある」と捜査関係者が危惧するのは、 神戸山口組の「事始め」が開催された12月13日朝のこと。

 神戸山口組の幹部の一人が「引退する」と言い残して、事始めに参加せず、組から去っていったのだ。その後、「破門」処分になった。

「この組長、一度はヤクザから去った人間。それが神戸山口組の結成され、井上邦雄組長と親しい仲もあり再度、馳せ参じた。本当にヤクザから足を洗ったのか? それとも抗争に備えてあえて身を引いて反撃の機会を狙っているのか? 組長が身を引いた直後の襲撃事件。神戸山口組も、まだまだ黙っていないというメッセージではないか」(捜査関係者)

 神戸戦争の抗争はさらに激化するのだろうか?(本誌取材班)

※週刊朝日オンライン限定記事