今季のウィザーズは、エースのジョン・ウォールがけがで離脱しており、得点を見込めるのはガードのブラッドリー・ビールとセンターのトーマス・ブライアントくらい。再建中のチーム事情からすれば、この八村の順応力が果たす役割は非常に大きい。

「走れる選手なので、チームのアップテンポなバスケットにもついていけている。中距離のシュートが得意ですから、早くもチームは八村君を得点させるためのフォーメーションを作るのではないでしょうか。日本代表では、彼に1対1をさせるためのフォーメーションがありましたからね。彼がチームの流れを作る側になっていいと思う。解説するのが楽しみです」(北原さん)

 そう話す北原さんが唯一懸念しているのが体調管理だ。NBAは週に2~3試合あり、アウェーの場合は長時間の移動も伴う。

「選手は健康管理が最重要事項。球団も医療スタッフやトレーニングスタッフをそろえますが、さらに選手も個人でトレーナーや栄養士を雇うんです。レギュラーシーズンは半年間で82試合あって、半分がアウェー。常々試合の多さは問題になっている。強豪チームも、(レギュラーシーズン後の)プレーオフで次々にけが人が出てしまうんです。八村君は新人なので、ストレスもあると思う。そこが心配ですね」

 NBA選手である以上、自己投資は当たり前。チームスタッフの尽力にも支えられながら、日本の至宝はルーキーイヤーを戦い抜かねばならない。

前出の外山さんはこう期待する。

「あの身長(203センチ)なので、自分と同じか大きい選手、もっと太い選手、あるいは速い選手など、いろんなタイプの選手とマッチアップできる。攻守ともにとてつもなくいい経験になるでしょう。3点シュートが入らなくても、体をぶつけてインサイドで点が取れている。今できていることを続けていければ大丈夫です」

 かくして、初のホーム戦となった30日のロケッツ戦では、それまで3試合で1本も入っていなかった3点シュートを3本決めて、自己最高の23得点を挙げた。始まったばかりのルーキーイヤーで、どれほどの成長を見せてくれるのか。海の向こうでの活躍から、目が離せない。(本誌・緒方麦)

※週刊朝日オンライン限定記事