これを見て、考えます。この主人公と同じような状況が起きた時に、日本だとどのミュージシャンがいなかったら最高におもしろい設定になるのか? サザン、ユーミン、山下達郎、ドリカム、ミスチル……、売れただけではなく、日本のミュージックシーンにたくさんのルールや方程式を残した人は?

 もし、今の世界に○○がいなかったら? 芸人さんだと、ビートたけしさん、さんまさん、タモリさん? 萩本欽一さんもバラエティー番組において様々なものを「発明」していった。が、この映画の設定で考えるとダウンタウンさん? ダウンタウンさんの登場により、関西弁が日本全国で使われるようになったと僕は思っている。そして言葉の短縮化。「熱っ!」「うざっ!」「寒っ!」など、言葉を短縮することにより、最速で笑いを取りに行く形を日本に広めたのは、ダウンタウンさんだと僕は思っているし、他にも多数。

 なんて妄想していろいろ考えたくなるのがこの映画。見終わった後も人と話したくなる。ぜひご賞味あれ。

週刊朝日  2019年10月18日号

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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