北原みのり「強制労働と慰安婦の歴史を学ぶ」

連載「ニッポン スッポンポンNEO」

北原みのり週刊朝日#北原みのり
イラスト/田房永子
拡大写真

イラスト/田房永子

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。今回は韓国への社員旅行について。

【この記事のイラストはこちら】

*  *  *
 毎年7月に社員旅行に行く。年のはじめ頃に「今年どこに行く~?」とみんなで決めるのだが、ここ数年、韓国にしか行っていない。「コスメもファッションも、買いたい物は韓国にある!」という全員一致の理由だ。フェミニストの会社として、半分は学びの時間にあてている。性暴力問題に関わっている方々に話を聞いたり、ソウルにある「慰安婦」女性たちや支援者が設立した「戦争と女性の人権博物館」を訪ねたりなどだ。

 去年は釜山だった。新鮮な海鮮を食べ、映画「ブラックパンサー」のロケ地を巡り、2015年にオープンした「国立日帝強制動員歴史館」を、釜山大学の学生に案内してもらった。そこには植民地時代、朝鮮半島の人々がどのように強制的に移動させられ、日本企業のために過酷な労働を強いられたのか、その記録が、死者の手帳や、家族に遺した手紙、衣類など、丁寧に遺されている。

 朝鮮半島の最先端である釜山は、日本人にとって行き来可能な“世界への入り口”であり、そして多くの朝鮮人にとっては戻ってこられない“出口”だった。

 歴史館の入り口には、大きなパネルがあり、当時、朝鮮人がどこに連れていかれたのかが、赤い矢印で遺されている。それはほぼ一方通行の矢印だ。日本の炭鉱のためにサハリンに向かった朝鮮人のほとんどは、戦後も冷戦に巻き込まれ、帰国できないままサハリンで亡くなっている。朝鮮人労働者を搾取しつくした企業の多くは、今も誰もが知る大企業だ。

 男性労働者だけじゃない。「慰安婦」もそうだ。決してそれは日本軍だけの問題ではなかった。日本企業が海外進出する時は必ず、性産業を伴うのが常で、植民地の性産業を太く厚く支えたのは名だたる企業の社員たちだった。そのような文化が、戦地にまで女性を連れていって「慰安」させるという発想につながるのだろう。

続きを読む

TwitterでAERA dot.をフォロー

@dot_asahi_pubさんをフォロー

FacebookでAERA dot.の記事をチェック