国交省が悪徳業者を野放しにしている以上、当面は不動産市場の取引の公正さは望みようがない。素人は手をつけないほうがいい、というのが大前提だが、それでもなお不動産投資への意欲が尽きないという読者のために、悪徳業者の手口から学ぶ、最低限の「カモとならないための4カ条」をご紹介しよう。
第一に、投資物件の価値は必ず自分の目と足で見極めることだ。
業者の言うことはあてにしない。「家賃保証」はその最たるものだ。契約書を交わそうが、破られて逃げられることはざら。空室となって家賃が入らなくなるリスクが不動産投資にあるように、業者の家賃保証には業者がバックレて家賃を払わなくなるリスクがつきものだ。
家賃保証があるのは、そうでもしないと売れないようなシロモノだからだ。原資は客から得る利益の一部で、なければ価格はもっと安く済むはず。実際に「住みたい」という需要が見込め、家賃保証に頼らずとも空室になりにくく収益性も見込める物件であることを、自分の目と足で確かめることが何より大事だ。価格の妥当性は、周囲で同じグレードの物件を複数見つけて比較する。家賃がどれだけ得られるかの相場感覚も同様につかめるだろう。
第二に、コストとリスクをぜんぶ洗い出すことだ。
物件の購入や維持にともなうお金(=コスト)がどれだけあるか。見込まれる家賃収入が減ったり、あとで出費が増えたりする可能性(=リスク)がどれだけあるか。そうした収益の行方を厳しめに見積もる。
借金は額が多いほど、融資時の手数料や何年にも及ぶ利息などのコストも膨らむことになる。金利上昇でもコストは増えるリスクがある。「自己資金ゼロ」で不動産を買うことは、コストとリスクを最大化させるようなものだ。
中古マンションなら、中長期の修繕計画や管理組合の議事録などから、将来の維持費が膨らむ可能性を点検できる。不動産情報サイトに掲載される周囲の空き物件数や募集賃料からも、空室リスクの大きさをある程度はうかがい知れる。
第三に、迷ったら必ず引き返すことだ。
業者と客の間には、大きな「情報の非対称性」がある。業者は豊富な専門知識と情報を握り、知識の乏しい客を食いモノにする。客には不利な情報を隠したまま、投資判断を迫られることも多い。不審点を自分であぶり出すためにも、最低限の知識と嗅覚は備えておきたい。