3カ月の休暇を取り、ガラパゴス諸島でボランティア活動に専念したヤフーの柴田さん
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サイボウズの長山悦子さんは「育自分休暇」を利用して3年間、青年海外協力隊としてボツワナで活動した後、復職した
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ノバレーゼの社員は年に2回のロックの日にイベントで休日をともにする。今年はボウリング大会とバーベキューを楽しんだ
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主な面白休暇一覧  (週刊朝日2019年7月5日号より) 
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 ゴールデンウィークが10連休になるなど、かつては「働きすぎ」といわれた日本も、休日は欧米先進国並みに増えてきた。今年の8月に週休3日制にチャレンジする日本マイクロソフトなど、企業は休み方を考え始めている。そんな中、独自の休暇制度で業績を上げた企業を紹介しよう──。

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■支援金付きで最大3カ月! 休暇を成長の機会にする<ヤフー>
 ヤフーに勤務する柴田絵里さんは、昨年2月から4月までの3カ月間、ガラパゴス諸島でボランティア体験をした。現地では英国やドイツ、チリから集まった約20人のボランティアと寄宿舎で共同生活をしながら、現地固有の鳥「ダーウィンフィンチ」を守るため、天敵のネズミを追ってジャングルの崖を登ったり、30度を超す猛暑の中でビーチを清掃したりと駆け回ったという。

「もともとは獣医を目指していたので、動物が好き。イグアナも好きで進化にも興味があり、ダーウィンも旅をしたガラパゴスで動物たちを観察し、研究するのは夢でした」(柴田さん)

 だが、柴田さんがアメリカの大学に留学して環境学を学んでいた当時は9.11同時多発テロの影響があり、大学院進学を断念。いったんはその夢を諦めた。就職して働くうちに弱まってしまっていたそんな夢にもう一度チャレンジしてみたいと思い始めたのは、ガラパゴス行きの半年ほど前だった。

 同社には、勤続10年以上の社員が対象となる2~3カ月の休暇制度「サバティカル制度」があった。自らのキャリアや経験、働き方を見つめ直し、考える機会を作ることで、さらなる成長につなげることを目的として、5年前に作られた制度だ。嬉しいのは、休暇期間中にもかかわらず一定期間分は会社が支援金を出してくれること。

「もともとこの制度を早く利用したいと上司には話していたので、上司や同僚からは“いつ休むの?”と聞かれていました。ようやく行き先が決まり“ガラパゴスに行きたい”と言ったときは、さすがに周囲からはビックリされました(笑)」(同)

 世間では有給休暇を1日取るだけで気兼ねしてしまうという人も多い中、ヤフー社内では休暇取得を積極的に推奨される雰囲気さえあるという。今年4月現在で、全社員の2%にあたる158人がこの制度を利用している。これまで、インドに長期滞在したり欧州のテニス大会に挑戦したりした社員もいるとのこと。

 英国のボランティア団体がガラパゴスでのボランティアを探していることを知った柴田さんは、休暇制度を利用することにしたというわけだ。サバティカル制度の利用申請はすぐに認められ、あわただしく休暇中の引き継ぎをして、憧れの地に飛び立った。

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