「会社の人よりも心配したのは家族でした。3カ月も会社を休めるわけがない。辞めたのを隠しているんじゃないのかって(笑)」(同)

 環境保護地区でもあるガラパゴスは外来作物を作れないため、物資は船便で送ってもらうことになる。船が遅れると食料も乏しくなる日々。ネット環境はあるが低速で、ヤフーのトップページはまったく開けなかったという。「結論は出ませんでしたが、果たしてこういう場所にネット環境を導入するべきなのか本気で考えました」という柴田さんは、いろんな国の人と考えを交換し合い、充実した3カ月を過ごした。

「一番の思い出は、大量に漂流するプラスチックゴミを除去する過酷なイベントに参加したこと。1日半かけて漂流地に上陸し、船が満タンになるくらいの臭いゴミを持ち帰りました。疲れ果てて帰ってきました」(同)

■期間も日程も自由な休暇で自分の人生をプランニング<CRAZY>
 勤続年数や休暇期間の縛りがない長期休暇制度「グレートジャーニー制度(通称・GJ)」を実施しているのは、フルオーダーメイドのコンセプトウェディングをプロデュースするCRAZYだ。GJは毎年取得でき、期間も自由。2カ月休む人もいれば2週間休む人もいる。ただし、未消化の有休と年間の公休残数があればその分は有給で休めるが、それを超えての休暇を取る場合は無給となる。取材をした6月中旬にも4人の社員がGJ中だというから驚きだ。

「年初に、その年の自分自身の計画を考えるんです。ウェディングには繁忙期と閑散期があるので、例えば“今年は8月を丸々休みます”など自分のスタイルに合わせて立てたスケジュールを申請すればいい」(広報室・市川千尋さん)

 休暇中の社員が今何をしているかは、SNSを通じてほとんどの社員が把握している。取材中にも、GJを利用してロシア旅行中の社員のインスタグラムを見せてもらった。

「プランニングが仕事の私たちは自分の休みをプランニングすることも大切なんです。また海外で見聞したことがクリエーティブに生かされることは非常に多い。いい仕事をするためには休むことが必要という創業者の強い意識があり、この制度は創業時からあるものなんです」(同)

■外の世界で成長した社員が復職しやすくなる制度<サイボウズ>
 休暇期間の長さでいえば、ソフトウェア開発・販売のサイボウズの「育自分休暇」は、実質的に年単位で休むことも可能。現在、ビジネスマーケティング本部で働く長山悦子さんは、28歳の時、青年海外協力隊の試験に受かり、合計3年間の任期でボツワナに派遣された。

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