都内の税務署に出ている看板
都内の税務署に出ている看板

 確定申告の季節がやってきた。2月18日から始まっているが、都内の税務署はさっそく混み合っている。ある署内の壁に大きく、気になる貼り紙があった。「にせ税理士に気をつけましょう」──。

 税理士は納税者に代わって、税務調査の立ち会いを行ったり、確定申告書、相続税申告書など税務署への提出書類を作成したりする。国家資格が必要だが、国民生活センターによると、にせ税理士の被害が後を絶たない。

 Aさんは相続税の相談を“税理士”にしていた。ところが、税務署から申告書が正しくないと指摘されてしまったので、その“税理士”に立ち会いを求めたが、途中から連絡が取れなくなってしまった。実は、税理士の資格を取っていなかったのだ。結局、国税局から脱税の指摘を受けて、多額の税金を支払わなければならなかった。

 約20年前から“税理士”と顧問契約をし、確定申告を委託してきたBさんは、“税理士”が辞めると伝えてきたので、別の税理士事務所に相談した。すると、これまで顧問契約していた“税理士”が無資格者だったことが発覚。Bさんは「顧問料を返してほしい」と怒り心頭だ。

 毎年、税理士法違反で逮捕されるにせ税理士が後を絶たない。国民生活センターの担当者はこう話す。

「大きく次の2通りの相談が寄せられます。一つは、『にせ税理士』に相談してしまったために脱税の指摘を受けたケース。もう一つは、税理士と思って顧問料を払っていたら無資格者だったケースです」

 日本税理士会連合会の杉田宗久専務理事はにせ税理士を見破る方法をこうアドバイスする。

「税理士が絶対言わないのが『うちでやれば税金が安くなりますよ』『落とせない経費を落とさせましょう』というセリフ。日本税理士会連合会のホームページで、税理士を検索できます。そこで名前を調べるか、あるいは当該地域の住所を検索すれば、その地域にいる税理士の名前が出てきます。まず名前を調べることをオススメします」

(本誌・大塚淳史)

週刊朝日  2019年3月8日号