北千住店で3年働いていたホステスのひよりさんも閉店を惜しむ一人だ。


 「昭和の懐かしい雰囲気が素敵で、ここで働きたくて他店から移籍してきました。働きながらショーや生演奏が見られるし、お客さんもいい人。安心して働けるいい店。閉店するという実感がまだわかないですね」

 若い頃、贔屓(ひいき)の客に連れられて「ハリウッド」に行き、きらびやかな店内に圧倒されたというのは梅沢富美男さん。ダンスを覚えたのもここ。フロアでかっこよく踊るおじさんを見て、「あんな風になりたい!」と思ったと振り返る。

「女の子相手に飲んでいるお客様に、いかに自分の歌を聴かせるか、どんなトークをすれば楽しんでもらえるか。有名になった歌手やバンドマンの中にはここで鍛えられた人も多い。そしてお客様も歌手のレコードを買ってあげたり、おひねりで応援してあげたりしてね」

「ハリウッド」では、かつて和田アキ子、山本リンダ、藤圭子、吉幾三などが舞台に立っていたという。

「こういう場所がどんどん減って寂しいと思っていたら、東京で最後に残ったハリウッドまでなくなってしまって。ああ、昭和も平成も終わってしまうんだなとしみじみ思います」(梅沢さん)

(取材・文/吉川明子)

週刊朝日  2019年2月1日号に加筆