大木などが伐採された山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角
大木などが伐採された山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角
大木などが伐採された山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角
大木などが伐採された山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角
大木などが伐採された山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角
大木などが伐採された山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角
本誌が入手した東京電力パワーグリッドが2017年12月に作成した<伐採樹木一覧表>1/2
本誌が入手した東京電力パワーグリッドが2017年12月に作成した<伐採樹木一覧表>1/2
本誌が入手した東京電力パワーグリッドが2017年12月に作成した<伐採樹木一覧表>2/2
本誌が入手した東京電力パワーグリッドが2017年12月に作成した<伐採樹木一覧表>2/2

 山梨県忍野村、富士箱根伊豆国立公園の一角にある、うっそうと木が覆い茂る森に、ぽっかりとあいた空間ができている。数えただけで30本近くの木が根本から切られていた。切り株を見ると、直径70cmほどもある「大木」もあった。

【東京電力パワーグリッドが2017年12月に作成した<伐採樹木一覧表>がこちら】

 世界遺産・富士山の構成資産の一つ、湧水池「忍野八海」の源流の桂川が、すぐ目の前を流れている場所だ。森の地権者、Aさんは怒りを隠せず、こう話した。

「私の土地にある木を東京電力パワーグリッドが勝手に切った。国立公園の特別地域なので、許可が必要なのに、それもとらずに伐採した。東京電力は、富士山、世界遺産に傷をつけたことになる。許せません」

 東京電力パワーグリッドは、東京電力が100%株主で送配電事業をてがけている。

 Aさんが、飲料水事業のために、森の一角を買収したのは今年4月のこと。

 だが、7月に異変が起こった。

「森の木が切られていると、忍野村役場の知人から連絡あり、駆け付けると、無残にもたくさんの木が切られていた。地権者である私に許可なく切るのは、泥棒だと請け負っていた業者に抗議しました。すると『去年も切った。東京電力パワーグリッドからの指示』と伐採業者や前の地権者が言いました」)(Aさん)

 Aさんに地権者が変わって以降、伐採は少なくても2回、行われたという。

 本誌は、東京電力パワーグリッドが2017年12月に作成した<伐採樹木一覧表>という書類を入手した。

 松の木など、23本を伐採した記述がなされており、Aさんの前の地権者に、12万4千円あまりの補償料が支払われたとも記されていた。

 自然公園法第20条第3項で、国立公園内で木を伐採する際には、環境大臣の許可が必要になっている。だが、Aさんが環境省に確認したところ、「東京電力パワーグリッドから、許可の申請はありません」と答えたという。

「環境省担当者は、伐採されたと知り、現場にまでやってきて『大変なことだ』と話していた」(Aさん)

 富士山とともに、構成資産として世界遺産の一角をしめる「忍野八海」は最近、観光客が急増。富士山の絶景と神秘的な忍野八海が人気になっている。現場は、忍野村の入り口にあたり、重要な場所だという。

 東京電力パワーグリッドに取材を申し込むと、「無許可で伐採したのは事実です」と非を認めた。

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伐採した理由について尋ねると…