松坂大輔の球種読み「いけいけ」は外角、「狙え狙え」は? 甲子園での逸話 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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松坂大輔の球種読み「いけいけ」は外角、「狙え狙え」は? 甲子園での逸話

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第51回、一躍人気者になった太田。「青森県 太田幸司様」でファンレターが届いたとか(写真左)/15回裏三沢1死満塁、痛烈な投ゴロに松山商・井上は飛びついたがはじく(写真右) (c)朝日新聞社

第51回、一躍人気者になった太田。「青森県 太田幸司様」でファンレターが届いたとか(写真左)/15回裏三沢1死満塁、痛烈な投ゴロに松山商・井上は飛びついたがはじく(写真右) (c)朝日新聞社

第19回、明石中-中京商。25回裏、バックホームがやや高くて中京商がサヨナラ (c)朝日新聞社

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第25回、先攻後攻を決めるじゃんけんでチョキばかり出していた海草中の主将・嶋(左) (c)朝日新聞社

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第40回、18回引き分けの試合後に握手をかわす徳島商・板東(左)と魚津・村椿輝雄投手 (c)朝日新聞社

第40回、18回引き分けの試合後に握手をかわす徳島商・板東(左)と魚津・村椿輝雄投手 (c)朝日新聞社

第55回、12回裏、満塁でフルカウントとなりマウンドに集まる作新学院・内野陣。中央が江川 (c)朝日新聞社

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第80回、11回裏、PL学園2死二塁。適時打で二走・平石洋介が生還して同点に追いつく (c)朝日新聞社

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掲載する名勝負24試合一覧 (週刊朝日 2018年12月21日号より)

掲載する名勝負24試合一覧 (週刊朝日 2018年12月21日号より)


『全国高等学校野球選手権大会100回史』定価:1万6200円(税込み)
編著・朝日新聞社、監修・日本高等学校野球連盟
 朝日新聞出版は、夏の甲子園大会100回を記念し、上下巻1600ページ超の公式本を発売します。選手権大会の全約3400試合の記録、6万人近い出場選手名簿(監督、部長含む)、25万試合に迫る地方大会の勝敗記録を掲載。今回紹介したような貴重な写真も約3千枚収録します。予約のみの販売になりますので、お早めにお申し込みください。

『全国高等学校野球選手権大会100回史』は完全予約販売で来年3月刊行予定。予約締め切りは12月15日。
 お近くの書店、ASA(朝日新聞販売所)、特設ウェブサイト(https://publications.asahi.com/k100/)でお申し込みください。
お電話でも受け付けています(03-5540-7793、平日10~18時・土日祝除く))


『全国高等学校野球選手権大会100回史』定価:1万6200円(税込み)
編著・朝日新聞社、監修・日本高等学校野球連盟

 朝日新聞出版は、夏の甲子園大会100回を記念し、上下巻1600ページ超の公式本を発売します。選手権大会の全約3400試合の記録、6万人近い出場選手名簿(監督、部長含む)、25万試合に迫る地方大会の勝敗記録を掲載。今回紹介したような貴重な写真も約3千枚収録します。予約のみの販売になりますので、お早めにお申し込みください。
『全国高等学校野球選手権大会100回史』は完全予約販売で来年3月刊行予定。予約締め切りは12月15日。
 お近くの書店、ASA(朝日新聞販売所)、特設ウェブサイト(https://publications.asahi.com/k100/)でお申し込みください。
お電話でも受け付けています(03-5540-7793、平日10~18時・土日祝除く))

「夏の甲子園のベスト試合は」と聞かれたら、あなたは何と答えますか?『全国高等学校野球選手権大会100回史』(完全予約販売。12月15日予約締め切り。朝日新聞出版刊)には、「伝説の名勝負」にまつわる写真や逸話が多数掲載されています。今回はその中から一部を紹介します。

【「伝説の名勝負」写真をもっと見る】夏の甲子園100回分のお宝写真から特別に紹介!

*  *  *
 今夏の甲子園。100回目を記念して、夏の甲子園で活躍した18人の元球児による「甲子園レジェンド始球式」が行われた。大トリとなる決勝戦は、特別に2人の元球児が登板。井上明と太田幸司が始球式に臨んだ。

 第51回(1969年)の決勝、松山商・井上、三沢・太田の投げ合いで、0‐0のまま延長18回引き分け再試合という決勝史上初の熱戦になった。

 松山商は3度優勝経験のある強豪校、対する三沢は青森県勢初の決勝進出。今でいえば「名門対雑草集団」という対戦だったが、優勢だったのは三沢だ。延長15回裏、16回裏と続けて1死満塁と攻め立て、東北勢初の全国制覇にあと一歩と迫った。ところがことごとく松山商の堅守に阻まれる。

 なかでも延長15回裏、1死満塁からの攻防は伝説の名場面として語り草だ。フルカウントから井上が投じた6球目ははじき返され、強烈な打球が井上の右を襲う。「抜けた!」と誰もが思った瞬間、井上が横っ跳び。でも捕れない。グラブをはじいて打球がコロコロと転がる。倒れたままの井上は「負けた」と観念したという。だが、打球は遊撃手・樋野の前へ。すぐさま本塁に返球され、土煙が上がるなか「アウト」が宣告された。死闘は4時間16分におよび、井上は232球、太田は262球を投げ抜いた。翌日の再試合は4−2で松山商が勝ち、4度目の全国優勝を果たした。

 バックに助けられながら絶体絶命のピンチをしのいだ井上と、端正な顔立ちで豪速球を投げ込んだ怪腕・太田。大会本部などには「気の毒で見ていられないから、優勝旗を二つつくって」という声が相次いだという。

 戦前の第19回(33年)、明石中−中京商は、大会史上最長25回の延長戦。それまでの延長最長は19回。大会本部は20、21回で試合中断を打診するも両チームの回答は「向こうが『やめる』と言えばやめる」。当時の気風を感じさせる逸話だ。

 太平洋戦争前夜の第25回(39年)は「南海の麒麟児」とたたえられた投手が登場する。全5試合を完封し、準決勝、決勝を無安打無得点で優勝を勝ち取った嶋清一(海草中)。『100回史』では、大記録を打ち立てた決勝・下関商戦から、鉄腕への成長過程や、その優しい人柄についても、本人の日記や近しい人のコメントを交えて触れている。また、試合前の先攻、後攻を決めるじゃんけんで主将の嶋はいつも「チョキ」を出していることが写真整理で判明。験担ぎだろうか、その心を知るすべはない。

 第40回(58年)、徳島商−魚津は、史上初の延長18回引き分け再試合。徳島商のエースは、現在タレントの板東英二。実は引き分け再試合の規定を作らせた当人で、約4カ月前の四国大会で延長16回と25回を連投したことがきっかけ。40回大会で板東が記録した通算83奪三振は現在も破られていない。そのタフネスぶりが本書から感じ取れる。

 第55回(73年)、作新学院−銚子商は、「怪物」江川卓(作新学院)が主人公。類いまれな能力を発揮したデビューから取り巻く環境の変化、ライバル校の対策、江川の苦悩、そして雨中の敗戦と、この試合を通じて、立体的に描かれている。江川という存在そのものが高校野球界やマスコミ、ファンにとってある種の「騒動」だったことがよくわかる。

 第80回(98年)からは横浜‐PL学園の延長17回。持てる技術と精神力、戦術のすべてをぶつけ合う様子が描かれている。なかでも松坂大輔(横浜)の球種を読み取る逸話は秀逸だ。巷間伝わるのは「いけいけ」と叫んだら直球、「狙え狙え」は変化球。テレビ番組で紹介されたものだが、真実は少し違った。「いけいけ」は外角、「狙え狙え」は内角、「絞れ絞れ」が変化球だとか。

 本書は、約1世紀に及ぶ膨大な記録集と、当時の様子を今に伝える貴重な写真が目玉だ。そのなかで、「名勝負」など、多彩な切り口の企画ページを設けており、読み応えは十分。感動や驚き、新たな発見があり、心地よい余韻に浸れるだろう。(敬称略)

(「100回史」編集室・内山賢)

週刊朝日  2018年12月21日号


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