関西在住の60代半ばの主婦はここ数年、汗をかきやすくなり、イライラが増えた。精神的に不安定になり、「つらい」と感じることもあるが、閉経後の女性に特有の症状だと受け入れている。

 横浜市と大阪市で女性医療クリニックを展開するLUNAグループ理事長の関口由紀医師は一時期、うつ症状に苦しんだ。理事長としてのストレスからだ。生きるのがつらい時期を1~2年ほど経験し、「死にたい」気持ちが周期的に訪れた。抗うつ剤を1年ほど飲んだが、改善しなかった。

 そこで、男性ホルモン補充療法に取り組み、2カ月ほどで症状がおさまったという。関口医師によると、更年期以降の女性がうつ症状を訴えれば、女性ホルモンの補充や抗うつ剤の処方が一般的。ただ、関口医師は乳がんを経験した身で女性ホルモンを全身投与できず、男性ホルモンを補充したという。

 クリニックの患者は50~70歳代の女性が多い。全身の倦怠感など初期のうつ症状の人もいる。女性ホルモン補充療法の難しい人には漢方薬処方などで治療。女性ホルモン投与で改善しない人は、テストステロン減少を疑うこともあるという。

 まだわからないことの多いテストステロン。こんなユニークな研究もある。胎児期に子宮内で浴びたテストステロンの量の違いが、指の長さに表れるというのだ。多く浴びた人は、薬指が人さし指より長い傾向。逆に、人さし指が長い人は女性ホルモンを多く浴びたとみられる。

 薬指と人さし指の長さの比をとると、薬指の長い人のほうが量が多く、相関関係があるとの報告もある。

 ならば、薬指の長い男性は心身ともにたくましいタイプになる。一方で、短い男性は熟年期障害に要注意、となるのかもしれない。

 さて、あなたの手、夫の手、恋人の手、どちらの指のほうが長いですか?(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日2018年11月23日号より抜粋