メンバーはボディーガードを大切にしてくれました。私たちと通訳だけが招かれて食事をすることも多く、おかげで京都の吉兆や博多の屋形船などでご馳走になりました。来日のたび、プレゼントもいただきました。カルティエの置時計、ライター、カフスなど。フレディさんは『イギリス人は、信頼を置く人にはカルティエを贈るんだ』と言ってました。離日する日に空港に向かう車で店に寄って『イターミ、腕時計を選べ』と言われ、一番安いのを指さしたら、『こっちにしろ』と一番高い時計を買ってくれました。

 82年の西武球場公演でのこと。ビップルームに呼ばれて行ったら、豪華なケーキがありました。私の会社の設立10周年を祝うサプライズパーティーだったんです。『イターミには内緒だぞ』とスタッフに命じて、ホテルオークラにケーキを作らせ運んだそうです。

 最後の来日となった86年には、真剣(日本刀)をプレゼントしてもらいました。ケンドーチャンピオンのことを覚えてくれていたんですね。胸が熱くなりました」

(取材・文/本誌・菊地武顕)

週刊朝日  2018年11月16日号