話は海の向こうのメジャーリーグに飛ぶが、エンゼルスの大谷が右ひじに新たな損傷が見つかって、ドクターからはトミー・ジョン手術を勧められているようだ。焦って投手復帰する必要はないと以前指摘したが、それは二刀流選手だからこそなんだ。打者としても一流なのだから、今年はそちらでチームに貢献すればいいと思っていた。だから残念と思ったが、今度は、焦って手術をすることだけはやめてほしいと思う。日本のドクターにも見せて、本人が納得することが大事である。シーズンが終わって何人かの信頼できる医師に見せ、その上で判断を下してほしい。イチローもメディアに話していたけれど、何も二刀流を同一シーズンに行うこともない。1年は野手、1年は投手だっていい。あれだけの才能を投打に持つ選手。チームへの貢献の仕方は2通りあると考えればいい。

 最後に国内に話を戻す。セ・リーグは3位争いが混沌(こんとん)としているが、3~6位までにチャンスがあるとなると、どこをターゲットにして戦えばいいかわからない部分がある。しかし、大事なことは漫然と戦わないことだ。どう相手投手を攻略するか。そして、自分たちの事前の分析を信じ、選手が体現しきれるかが大切になってくる。それは、CS以降の短期決戦にもつながる大事な要素となる。

週刊朝日  2018年10月5日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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