私も、読みかけの本や資料は、本棚や引き出しにしまわず、そこらにポイッと置いておきます。本は一度引き出しにしまってしまうと、再度それを取り出し、前回読んだ箇所のページを探す手間がおっくうになります。他人から見れば私の部屋はただの散らかった部屋ですが、自分の中では「読みかけの本の位置はここ!」とわかっているので、途中までの本をすぐに読み始められるのです。逆に、誰かが片づけてしまうと、「どこにいってしまったんだろう」と、ひたすら探す羽目になります。

 また、パソコンでやらなくてはならない作業があるときは、終わるまで使うソフトをずっと開いたままにしておきます。寝るときは、次の日もすぐ作業にうつれるように、パソコンのロックを解いたらすぐにそのソフトが目に入るようにしておきます。一日が終わったからといって全てのソフトを消しておくと、次にひらいたとき絶対にインターネットを使ってニュースを見たり、そこから関連する映像をみたりと、誘惑に負けてしまい、絶対パパッとやるべき作業にうつれないのです。

■育ってきている集中力や忍耐力を妨げない

 子どもも同じです。もしブロックで集中してロボットを作っていた途中に時間を区切られて、「続きはまた今度ね」と片づけられたら、果たして次のとき、同じ集中力ややる気を保ったまま、ロボットをつくり始められるでしょうか? やりかけのまま、違うおもちゃに目移りしてしまうことが多いでしょう。

 それはある意味、子どもの中で育ってきている集中力や忍耐力を妨げ、最後までやり遂げる機会を奪っていることに他なりません。片づけは、必ずしも「よいこと」ではないのです。

 みなさんは、アインシュタインの部屋の写真を見たことがあるでしょうか。これでもかというくらい本や資料が乱雑に置かれていて、「最後に掃除したのはいつなのか?」と思うほどです。ただ、そうして本が散乱している部屋のほうが、キッチリ整理整頓された部屋よりも、アイデアが湧きやすそうですよね。ある本を読んでいる途中、横に置いてある本を見て、それを一つに脳内で組み合わせ、理解やひらめき、発見が生まれることもあります。

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知識を「組み合わせる」能力