死ぬまで日本酒! 「嚥下障害」でも晩酌を楽しむ技術 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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死ぬまで日本酒! 「嚥下障害」でも晩酌を楽しむ技術

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試飲会の様子

試飲会の様子

とろみ酒

とろみ酒

「酒の特徴がよく出ている」とされた「嚥下酒」

「酒の特徴がよく出ている」とされた「嚥下酒」

嚥下酒の作り方

嚥下酒の作り方

 酒好きには晩酌はささやかな楽しみ。のみ込みが難しくなったお年寄りに、そんな楽しみが復活するかもしれない。厳選した地酒を「加工」して試したところ、味や香りを楽しめる銘柄がいくつもあったのだ。死ぬまで日本酒を飲める日も近い!?

【とろみ酒の写真と作り方はこちら】

*  *  *
「嚥下障害」という身体の不調をご存じだろうか。

 人間は食べたものが気管に入らないように、通過する直前に気管にふたをして食べ物を食道に導く「嚥下」と呼ばれる絶妙な機能がある。嚥下障害はその嚥下機能が低下する障害だ。

 加齢や脳梗塞など脳血管疾患、認知症などが原因でなるとされる。誤って食べ物が気管に入る「誤嚥」が起こると肺炎の原因になる。肺炎は日本人の死因の第3位で、高齢者では「誤嚥性肺炎」がその多くを占める。嚥下障害は死につながる危険性を秘めているのだ。

 しかも、嚥下障害のリハビリテーションの専門家、言語聴覚士で聖隷クリストファー大学の柴本勇教授が、

「全貌はわかっていませんが、全国で500万人いると私は推定しています」

 というから、もはやひとごとではない。

 嚥下障害になると、当然、食べ物は制限される。誤嚥を起こしやすい焼き魚やゆで卵などの「パサパサしたもの」や、おもちや団子などの「ベタベタしたもの」は、そのままで食べられない。ジュースやお茶など「サラサラした」液体状のものもご法度だ。

 しかし、これでは食べる楽しみがなくなり、生きる喜びも減退してしまう。

 前置きが長くなったが、そこで嚥下補助食品のパイオニアメーカー、ニュートリーの出番となる。同社PR部広報広告課の横山祥子課長が言う。

「のみ込みにくい食材も、医療現場で使われる材料を使って工夫すれば、嚥下障害の人でものみ込みやすい『嚥下食』になります。食べられるものを増やして、食べる楽しみを取り戻してほしいと、以前から様々なレシピを開発してきました」

 約6年前から同社は各地の地方紙と共同で、地域の郷土食を嚥下食にする試みを展開してきた。約3年前からは、それらを一堂に集めた「ご当地嚥下食ワールド」というサイトを立ち上げ、共同事務局の一角を担っている。

「今回の企画は、郷土食の延長線上で考えました。同じく各地で地域独自のものがあるのが日本酒ですから」

 そう、同社は日本酒を嚥下酒にして味わう試飲会を、ヘルスケアテック事業を展開する「おいしい健康」と共同でこのほど行ったのだ。嚥下食はのみ込みやすくするため、とろみ剤を加えて「とろみ」をつけたり、ゲル化剤を加えて「ゼリー」にしたりする。日本酒にも同様の処理をした(作り方は後述)。


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