芥川賞作家が黒衣として歌舞伎界の裏側を見た 吉田修一の「国宝」 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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芥川賞作家が黒衣として歌舞伎界の裏側を見た 吉田修一の「国宝」

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週刊朝日#読書
吉田修一(よしだ・しゅういち)1968年、長崎県生まれ。97年に『最後の息子』で文学界新人賞を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で芥川賞を受賞。朝日新聞連載の『悪人』は大佛次郎賞などを受け、映画化されるなど注目を集めた。16年から芥川賞選考委員
中村鴈治郎(なかむら・がんじろう)1959年、京都府生まれ。67年に初舞台。2015年に五代目中村翫雀から、上方歌舞伎の大名跡、中村鴈治郎を四代目として襲名した。幅広い芸域を持ち、日本芸術院賞を受賞している。父は重要無形文化財保持者(人間国宝)の坂田藤十郎さん(撮影/小山幸佑)

吉田修一(よしだ・しゅういち)1968年、長崎県生まれ。97年に『最後の息子』で文学界新人賞を受賞し、デビュー。2002年『パーク・ライフ』で芥川賞を受賞。朝日新聞連載の『悪人』は大佛次郎賞などを受け、映画化されるなど注目を集めた。16年から芥川賞選考委員
中村鴈治郎(なかむら・がんじろう)1959年、京都府生まれ。67年に初舞台。2015年に五代目中村翫雀から、上方歌舞伎の大名跡、中村鴈治郎を四代目として襲名した。幅広い芸域を持ち、日本芸術院賞を受賞している。父は重要無形文化財保持者(人間国宝)の坂田藤十郎さん(撮影/小山幸佑)"

国宝 (上) 青春篇

吉田修一

978-4022515650

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 3年ほど前のこと。芥川賞作家・吉田修一さんは歌舞伎に心ひかれ、中村鴈治郎さんと出会った。話は弾み、黒衣として舞台の裏から袖から、芸道に生きる役者たちを見つめることに。そして織りなされた大河小説『国宝』(朝日新聞出版)。無二の作品を、いま、ふたりが語り合う。

*  *  *
中村:朝日新聞の連載のときから準備していたんだろうけど、こんなに早く本になるんだね。おめでとうございます。でも、大事なことを聞いてなかった(笑)。そもそも、何のきっかけで歌舞伎の世界を描こうと思ったの?

吉田:縁あって鴈治郎さんとお会いしたことから始まったんですよ(笑)。興味は持っていたんですけど、全然知らない世界でしたから。おかげさまで、こんなに内側まで知れるなんて。

中村:こっちは吉田くんの作品を読んだことはあったけど、歌舞伎のことを書く、というふうには結びつかなかったよね。だったら、「中」に入ってもらうのが手っ取り早い。でもお客さんとして招くと邪魔だと思われかねないしさ。黒衣になれば、舞台の袖だろうが裏だろうが行って見てもらえる、いろんなことを感じてもらえる、と思ったんだよ。寸法を合わせ、つくった衣装を渡すと、これがまた妙に似合って(笑)。

吉田:ほんとに衣装をいただけるとは思っていなかったんで、うれしかったですね。でも、そこらじゅうにひもがついていて、はじめは着るのも難しかったんです。そんなところから教えてもらって、朝、鴈治郎さんと楽屋に入り、夜まで劇場の中にいさせてもらうと、そこでしかない時間の流れが感じられて、新鮮でした。

中村:いろんな質問もしてくれるんだけどさ、飾ってるわけじゃなく、へえ、そんなこと気になるんだって素朴な感じで、おもしろかったよ。舞台の袖に正座して、じいっと見てるでしょ。足しびれちゃったりしてさ(笑)。だったら、もう少しおつきあいしたいじゃないかって。

吉田:小説のためというよりも、好奇心がわいてきて、楽しくて仕方なかったですよ。役者さんって、出番のぎりぎりまでお相撲の話なんかしていても、いざと舞台に向かっていく後ろ姿はやはり、どう見てもその役なんですね。そうやって気づくことがたくさんあって。


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