さて、2度目の春夏連覇がかかった大阪桐蔭。「最強世代」と評されたチームのプレッシャーの大きさは計り知れないほど大きい。しかも難しい初戦の対戦相手は作新学院(栃木)だった。その試合巧者を3―1で退け、2回戦は沖学園(南福岡)に完勝。しかし3回戦は高岡商(富山)の左腕山田に苦戦。11三振を喫し、不満はくすぶりつつも3―1で勝利した。

 準々決勝の浦和学院戦(南埼玉)でやっと強力打線が目を覚ます。12安打、4本塁打の11得点で圧勝。藤原が2本塁打、根尾も一発を放ち、一気に勢いに乗るかに見えた。

 だが、準決勝の済美(愛媛)も簡単には勝たせてくれない。初戦の作新学院戦以来、エース柿木が先発。先取点を奪われるも、最少失点にしのぎ、打線が中盤に5点を挙げて逆転。5―2で逃げ切った。

 2回戦からの3試合は継投で勝ちあがり、投手陣には余力がある。まだ全開ではない大阪桐蔭打線が、“怪物”吉田をいかに攻略するか。準決勝終了後、大阪桐蔭のメンバーは次のように語った。

■柿木蓮・投手
「吉田君は地方大会から一人で投げてきて、体力もスタミナもすごい。それをしのぐくらいの気持ちで投げたい。明日のためだけに自分たちはやってきた。最後は攻めるだけ。明日も9回投げきりたいと思います」

■小泉航平・捕手
「(吉田君は)いい球を投げてるなと思います。気持ちが強くて1人で投げ込んできた。その気持ちに負けず、自分たちが押して行きたい。根尾は落ち着いていて、柿木は明るくて気持ちを前面に出すタイプ。明日は誰が先発でも大丈夫だと思います」

■石川瑞貴・一塁手
「1人で投げてきたんで疲労はあるはず。野球経験の浅い選手も多いと聞いてるので、守備にもプレッシャーを与えていきたい」

■山田健太・二塁手
「決めにくる真っすぐじゃなく、ストライクを取りにくる真っすぐを狙いたい。自信のあるボールを打たれたら、どんないいピッチャーでもガクッと来ると思う」

■中川卓也・三塁手
「吉田君は本当にタフ。1人で粘り強く投げ抜いてきて、コントロールもいいし、投球術も持っている。そう簡単には打てないと思うが、見極めて打っていったら、必ず糸口が見つかる」

■根尾昂・遊撃手
「第1試合の9回のMAXは速かったですね。全力を出し続けるのではなく、力の入れ方がすばらしい。打ち崩すのは難しいかもしれないですけど、どうにかして攻略したい。早く試合がしたいです」

■中川卓也・三塁手
「(昨年の)8月19日に負けてから約1年間、『春夏連覇』の目標だけを掲げてやってきた。ここまでは一戦一戦が大事なんで、(目標は)頭の片隅に置きながら、目の前の相手に集中してきた。明日は目の前の相手に勝てば春夏連覇。それを意識して力を出せるようなチームを作ってきたので、大いに意識してプレーします」

■宮崎仁斗・左翼手
「相手は『吉田のために』という雰囲気で野手が頑張って、すごくチームとしてまとまってるイメージ。(吉田は)球もすごく速くて変化球もいいけど、(1番打者として)自分が合わせたスイングして消極的になったらチームのバッティングに影響する。強気に攻めていきたい」

■藤原恭大・中堅手
「吉田君は真っすぐの変化球もよく、投球技術もあり、空気をつくれるすごいピッチャーだし、すごいバッター。なかなか打たせてくれないと思うが、吉田君を打ち崩して勝ちたい。チャンスの1本を意識してやっていきたい。悔いのないようにフルスイングを心がけたい」

■青地斗舞・右翼手
「吉田君がピンチになったときの力を入れたまっすぐは分が悪い。ただ、ずっと1人で投げてきたので、ストライクを取りにきた甘い球がすごく増えていると感じている。これを一発で仕留めたいと思っている。球場を味方につけるすごい力を持っている。アウェイになることは想定している。だが、自分たちにも史上初の偉業がかかっている」

(スポーツライター・守田直樹、本誌・緒方麦)

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