「認知症カフェやデイサービスなどで地域に出向くと、高齢者同士の夫婦、きょうだい、親子のどちらかがどちらかを介護しています。この介護を前向きに捉えて、不安や心配の少ない形に変えていけるか。大きな課題だと思います」

 少子高齢化を研究する、ニッセイ基礎研究所社会研究部主任研究員の土堤内(どてうち)昭雄さんは、こう説明する。

「平均寿命と健康寿命(その人が介護を受けないで日常生活を送れる期間)は男性で約9年、女性で約12年の開きがある。高齢化というと、“元気なお年寄りが増えている”という印象がありますが、実態は介護が必要な高齢者が増え、その要介護者を支えるのも高齢者というパターンが多くなってきているのです」

 老老介護から超老老介護の時代へ移りつつあることを示すデータが、厚生労働省の国民生活基礎調査(2016年)にある。これを見ると、65歳以上の人が65歳以上の人をみる老老介護は54.7%と、半数以上を占め、後期高齢者である75歳以上の人が75歳以上の人をみる超老老介護は30.2%と、3割にも上る。しかもその割合は、年々高まっている。

 超老老介護になると新たな問題も出てくる。宮澤さんは、どちらも認知症を患う「認認介護」の要素を含むようになると話す。

「一度、神奈川県の実態を調べたことがありますが、老老介護の1割が“認認介護”でした。認知症が加わると、お金や薬の管理などでもトラブルが起こりやすくなります。なかなか解決法がなく、難しい問題になっています」

(本誌・山内リカ)

週刊朝日  2018年8月3日号より抜粋