東京物語から65年 4Kで蘇る小津安二郎監督7作品の魅力 (1/3) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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東京物語から65年 4Kで蘇る小津安二郎監督7作品の魅力

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白井佳夫週刊朝日
「東京物語」で原節子を指導する小津

「東京物語」で原節子を指導する小津

 世界の巨匠・小津安二郎監督の傑作が復活! 4Kデジタル修復版が東京・新宿で上映され、話題をよんでいる。巨匠は何を伝えたかったのか。改めてその作品の見どころを紹介する。

【「東京物語」の原節子や香川京子の写真はこちら】

■東京物語(1953年)
小津安二郎監督の日本的な人間ドラマのシリーズが、一つの頂点に達した作品。世界中の映画監督や映画評論家が投票で選ぶ「映画の歴史始まって以来のベスト・テン作品」の中で、必ず上位に入ってくる一作だ。この練りに練って完成されたドラマを見ていると、私は松尾芭蕉の日本的な俳句の世界との類似を感じる。平凡な日常風景を、五・七・五という抑制された語の定律の中に、ぎりぎりしぼりこんで彫琢していくと、それは天地悠久なるもの総てを包含してしまうような、永遠性を持った表現に昇華されるのである。老母を演じた東山千榮子は、イタリア旅行中に紳士から「あなたはオヅの『東京物語』で、母親を演じられた人ですね?」と、聞かれたそうである。

あらすじ/尾道に住む老夫婦(笠智衆・東山千榮子)が子どもに会いに上京するが、長男(山村聰)と長女(杉村春子)は日々の生活に忙しいため、かまってやれない。2人に寄り添ったのは、戦死した次男の妻(原節子)だった……

■晩春(1949年)
これは原節子と笠智衆を主演に作られていく、小津監督の静かなドラマ・シリーズの、いわば出発点とでもいうべき位置にある作品である。茶会の描写から始まって、能を見るシーンで一つのクライマックスを迎え、京都の清水寺や龍安寺の石庭の出てくるシーンに至る、この日本的な映画。それが実は、「日本的なものは総てダメで、アメリカ的なものこそが、新しい」といった風潮のあった、敗戦後のアメリカ軍占領時代の日本で作られた、という事実は、とても興味深い。と同時に、原節子の親友である月丘夢路の演じる女性が登場する場面のとてもモダンなシーン設定は、さらに興味をそそられる。小津映画は底が深いのである。

あらすじ/妻を亡くし、娘(原節子)と2人で暮らす大学教授(笠智衆)。娘は父に尽くし結婚できずにいた。そんな中、彼女に縁談が持ち上がって……


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