落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は、「告白」。
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先日デパートで急な便意。トイレを探してたら、チョコレート売り場に紛れ込んだ。辺り一面、ガールズ&チョコレート。茶褐色と化粧の匂いによって視覚と嗅覚を刺激され便意が「ゴディバーッ!」と膨れあがる。幸いそのフロアの男子トイレですぐにスッキリ。異性に囲まれての便意は腹も冷えた上に、肝も冷やす。ウンコを我慢している男は、基本モテない。いい仕事なんてできやしない。ウンコをこらえながらの落語は噛みまくり。冷や汗が尻の溝に溜まり、「あ、いま決壊した……」と勘違いしそうになる。経験済み。
時節柄、ウンコを我慢しながらスキージャンプなんかしたら、勢い余って違う放物線を描いてしまい、世界中に「レジェンド」を撒き散らしてしまう。何度も言うよ。ウンコを我慢している男はモテない。モテたとしても、ウンコしたくてそれどころじゃないはず。
昔から緊張すると便意がこみ上げるタチだ。中3の3学期、友人の部屋で「卒業前に好きな子に告白しよう!」ということになった。「頑張れ!」「おうっ!」と気合十分な私。黒電話のダイヤルを回す。番号の最後の2に指をかけて「あーっ! やっぱダメだーっ!」とガチャンッ! そんなお約束を繰り返す。ダイヤルを回す合間に、漫画読んで、おやつ食べて、映画の話して、CD聴いて、ファミコンして、合間合間に、その子をいかに好きかを熱弁し、ダイヤルを2まで回しかけ「ワーッ!!」と叫んでガチャン、を繰り返すうちに7時間経過。
「いいかげんにしろよな……」