95年ごろから2010年ごろまでは「かしこい買い物」。山一証券の破綻(はたん)など、経済が本格的に落ち込み、消費者はより安価な商品を求めるようになる。

「パソコンによるインターネットの普及がこの時期です。口コミサイトなどが出てきたことで、横に倣うことなく、商品を選ぶ機運が出てきました」(山本さん)

 この時期は「とにかく低価格(95~03年ごろ)」と「いいものをなるべく安く(03~10年ごろ)」の前後半に分けられるという。100円ショップの台頭は98年ごろ。後半期には有象無象だったインターネットが洗練され、情報が整理されていくことで、安価でもコストパフォーマンスのよい商品を求めるようになった。メーカーが「プレミアム~」といった、お得感を演出して付加価値をつけた商品を出し始めるのはこのころだ。

 2010年代はスマートフォンの爆発的な普及で大きな転換期となった。

 あらゆる情報が四六時中飛び込んでくるようになり、賢い買い物のために比較検討しようと思っても、情報が多すぎて「選べない買い物」の時代に変容したと山本さんは指摘する。

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