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英国の10年ぶり利上げに日本が学ぶべきこととは?

連載「虎穴に入らずんばフジマキに聞け」

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週刊朝日#藤巻健史

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務努めた。2013年7月の参院選で初当選。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)

藤巻健史(ふじまき・たけし)/1950年、東京都生まれ。モルガン銀行東京支店長などを務努めた。2013年7月の参院選で初当選。主な著書に「吹けば飛ぶよな日本経済」(朝日新聞出版)

英国の消費者物価上昇率(週刊朝日 2017年11月24日号より)

英国の消費者物価上昇率(週刊朝日 2017年11月24日号より)

 “伝説のディーラー”と呼ばれた藤巻健史氏は、英国の中央銀行が利上げに踏み切ったことに関連し、日本の金融政策の問題点を指摘する。

【図】英国の消費者物価上昇率

*  *  *
 テニス仲間のYさんは、若い頃にスピード違反で反則切符を切られたそうだ。

警察官「お勤めは?」
Yさん「銀行です」
警察官「罰金じゃ、勤め先に具合が悪いから、振り込むわけにいかないねえ」
Yさん「スピード違反ぐらいなら、大丈夫です」
警察官「ぐらい、とは何だ!ぐらいとは!」

★   ★
 英国の中央銀行(BOE)が11月2日、10年ぶりに利上げした。日本経済新聞は3日付朝刊「英、10年ぶり利上げ」の記事で、<通貨ポンド安により勢いづく物価高を抑える>とねらいを報じている。

 BOEは昨年11月、今年の消費者物価指数(CPI)上昇率予想を2・0%から2・7%に引き上げた。理由はユーロ離脱によるポンド安の進行。自国通貨安が物価を押し上げることをBOEは十二分に理解している。

 ヨーロッパ中央銀行(ECB)は、月600億の国債等購入額を来年1月以降月300億に減額する、と10月に決めた。NHKは決定日のニュースで、「ユーロ安のせいでギリシャ、ポルトガル、スペインでも景気回復しているから」と解説した。通貨安が景気回復に役立つことを理解している。

 他国の景気回復や物価上昇は「通貨安のせいだ」と的確に分析されている。なのに、日銀が2%の公約未達を「円高のせいだ」と看破できないのはなぜか?

 異次元の量的緩和を始めた当初、すぐにでも目標達成の雰囲気があった。それは1ドル=70円台だった為替相場が、円安へと進行していたからだ。しかし、2015年夏に1ドル=125円をつけた後、円は反騰し、今や114円。円安が止まったことこそ、目標を達成できない理由だと考える。

 私が参議院財政金融委員会で為替とCPIの連動性をいくら指摘しても、日銀の岩田規久男副総裁をはじめ、日銀幹部はそれを認めようとしない。為替“ぐらい”でCPIは動かない、と思っているフシがある。


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