松本:素直な気持ちが「ごめん」であることに、女性はイラつくんでしょうね。聞きたい言葉はごめんじゃないのに。

──この作品で松本さんは、「嵐の松本潤」とは全く違う表情を見せてくれましたが、撮影中には嵐のコンサートツアーもあったと聞きました。切り替えはスムーズにできましたか?

松本:富山で撮影できたのは大きかったですね。葉山が生きている世界は、いま僕自身が生きている日常とはだいぶ違うのですが、富山に行くことでスイッチが入る感じはありました。みんな富山に残って撮影していましたし、有村さんは泉として考え続ける日々だったと思いますから、戻ったときにどうやって入っていくべきかは、ちょっと考えましたけど。

行定:僕は撮影前にも、撮影中にも嵐のコンサートに行きましたけど、すごかったですね。あのでかい東京ドームで観客を自分に集中させるんですから。世界的に見ても、そんなふり幅のある役者ってそういないんじゃないかな。僕は松本君に難しいリクエストを出したと思っていたけど、あれだけのことができる人なら必ずやってくれるだろうと確信しました。

──以前、嵐の大野智さんにインタビューしたのですが、大野さんはご自身のことを「俳優とは思っていない。嵐から派遣されて頑張るというイメージ」と語っていました。松本さんは?

松本:それは僕も近いものがありますね。“俳優”って、ずっとお芝居をやっている方のことを言うと思うので、そういう意味では僕は違う。肩書が何かと問われれば、やっぱり「嵐のメンバー」になるんじゃないかな。でも、お芝居は見るのもやるのもすごく好きです。

行定:たぶん松本君は、作るのも好きだと思うよ。作ればいいと思う。自分で作って自分で出演しちゃえば成立しちゃうけど、そうでないやり方もできるだろうね。そういう資質を持った俳優……、じゃなくて役をやる人という意味では役者という言い方が適切かな。役者は、監督にとってはすごく心強い存在です。

──役者として松本さんがこれから挑戦したいことは?

松本:僕らはオファーがないと、何もできませんから。自分から働きかけることも大事だと思うけれど、自分の想像を超えた役に出合うことを楽しみたいですね。

行定:やってほしい役、いっぱいあるよ。

松本:ぜひ、お願いします(笑)。(構成/本誌・野村美絵)

※週刊朝日 2017年10月13日号より抜粋