秋風漂う9月場所。一人横綱が序盤で連敗とは……(c)朝日新聞社
秋風漂う9月場所。一人横綱が序盤で連敗とは……(c)朝日新聞社

「“荒れ荒れ空き場所”と見出しを付けたスポーツ紙もありましたが(笑)、ホントに大荒れで、誰が優勝するかわかりません」(ベテラン記者)

 初日から3横綱不在という昭和以降初の異常事態で幕を開けた大相撲秋場所だが、2日目に大関高安(27)と人気者の宇良(25)が故障して翌3日目から休場。唯一出場する横綱日馬富士も序盤を2勝3敗と苦しみ、カド番大関照ノ富士に至っては古傷の左ひざ痛を再発させ6日目から休場、来場所は大関から陥落するなど、上位陣は総崩れ状態だ。

「故障者が多い背景として力士の大型化が挙げられますが、高安は典型的で、身体を大きくしすぎて下半身に弱点がある。ただ、これだけ故障者が多くても、公傷制度復活、とはならないでしょう。あの制度があった頃、故障者は判で押したように“全治6カ月”の診断書を出し(笑)、目に余るから廃止されたわけです。制度があれば甘えるのが人間ですから」(同前)

 さて、ピンチはチャンスで、混戦に乗じて名前を売る若手有望株が現れるもの。この窮状を救う候補者の筆頭は、5日目に横綱初挑戦で金星を挙げた幕内最年少の21歳、阿武咲だろう。その時点で唯一の5戦全勝。15日制が定着した1949年夏場所以降では7人目という“新入幕から2場所連続2ケタ勝利”を挙げ、今場所も2ケタの勝ち星を挙げると3場所連続となり、史上初の快挙となる。

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