人気番組「吉田類の酒場放浪記」でおなじみの酒場詩人・吉田類さん。初主演映画『吉田類の「今宵、ほろ酔い酒場で」』のDVD発売を記念したイベントが、東京・渋谷の「HMV&BOOKS TOKYO」で開かれた。
自ら歌う映画の主題歌「時代おくれ」(河島英五のカバー)が流れる中、ビールジョッキを片手に笑顔で登場。「飲み会トークショーイベント」と銘打たれた通り、ビールやおつまみ、映画のロゴが印刷された特製カップ酒(土佐鶴)などが販売された。
日ごろ本やCDを扱う店舗ではなかなか聞けない“プシュ”という音が響く。参加者も類さんと一緒にお酒を楽しむことができるという粋な演出だ。ここはやはり飲むのが礼儀かと、記者も缶ビールを購入しのぞんだ。
類さんの「乾杯!」の発声とともに、ほろ酔い気分でトークがスタート。
「飲んでないと変に思われるのかね?」
と場内を沸かせた。
映画は三つの居酒屋を舞台に人間模様を描いたオムニバス作品。作品内では特に「演技」はしていないと撮影エピソードを語った。
「素のまんまでしゃべってくださいということだったので。普通にやったのがよかったねと監督にはほめてもらいましたけど」
その“演技をしない演技”のお手本は、名優・笠智衆だという。撮影時に驚いたのは、共演者たちが飲まずに酔った演技ができることだったという。
もちろん演技をしない類さんは、気つけ薬みたいな感じでいつものままに飲んでいた。飲んで芝居ができる類さんのほうがすごいと、共演者から逆に驚かれたという。
映画に登場するのはすべて実在の居酒屋。
「面白いのは、映画やDVDを見た後で、実際にそこに行けるということですね」
お金をかけた大作とは正反対の作品だと位置づける。
「日常生活をそのまま映画にしたようなところがあるので、ささいな飲んべえの一面が出ればいいかなと思います。お酒を身近なものだと感じていただければ」
2杯目の特製カップ酒に口をつけるころには、そこはすっかり居酒屋かバーのような、笑いの絶えないなごやかな空間に。お酒は神様から授かる大切なもの、人と人を結ぶ最高のアイテムだと意識していると語った。
「とにかく平和な飲み方が一番。楽しく飲むというのが基本ですね。他人に迷惑をかけるような飲み方は、お酒に対して失礼」
トーク終了後には「飲んべえのアイドル」として、ファンとのツーショット撮影会も行われた。互いにお酒を手に、にこやかに写真に納まり、一夜限定の「放浪酒場」のにぎわいが続いた。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 オンライン限定記事