左から、富樫勇樹(千葉)、田臥勇太(栃木)、比江島慎(三河)
左から、富樫勇樹(千葉)、田臥勇太(栃木)、比江島慎(三河)

 プロバスケットボールのBリーグは9月29日、2季目のシーズンが開幕する。国内2リーグが統合し、栃木ブレックスが初代王者に輝いた昨季は大きな盛り上がりを見せた。2季目の見どころを“バスケット観戦の達人”3人に聞いた。

【写真特集】2年目のBリーグを熱くする男たち

【味方を生かすプレーが日本のバスケ】
●北原憲彦さん(1976年モントリオール五輪日本代表、江戸川大学社会学部教授)

 昨年、Bリーグが産声を上げたことがとてもうれしかった。誰もが知る“ミスターバスケットボール”田臥勇太選手がトロフィーを掲げ、理想的な1年目だったと思います。プロ化に伴って選手にも変化が見られました。かつては試合の大勢が決まると、劣勢のチームの選手はどこか個人主義というか、「もういいや」と下を向く選手が多かった。それがまったく見られなかった。負けていてもひたむきにゴールを目指す姿勢は観客を引きつけますよね。

 日本のバスケの特徴は、やはり協調性、チームワークです。NBA(米プロバスケットボールリーグ)の黒人選手のようなプレーはどうしたってできません。個で打開するのではなく、チームが一つになってゴールを目指すプレーに注目してほしいです。特にボールを持っていないところでのプレーを見てもらえるとうれしい。ボールを持たせたい選手をフリーにするために他の選手が相手の進路をふさぐとか、あの選手がいるからこの選手が生きるんだとか。そういうプレーに拍手を送れるようになると、バスケを見る楽しさが増していくと思います。

 注目選手としては馬場雄大選手(アルバルク東京)を推します。筑波大に在学しながら、プロの舞台に飛び込む期待の選手です。2メートル近い長身で鋭いドライブを見せますし、ダンクも軽やか。日本人離れした身体能力で、スケールが非常に大きい。日本バスケ界を背負っていく選手になりますよ。

 これまで日本のバスケは“やる”文化はあっても、“見る”文化が成熟していなかった。競技人口は多いのに、観戦して応援する習慣が広まらなかったんです。Bリーグによって見る文化が根付くことを願っています。私は現役時代、サッカーの日本代表とよく食事を共にしました。アマチュアという立場で語り合い、競い合っていました。だからJリーグができたときはうらやましかった。「先に行かれてしまった」と。20年以上遅れて、ようやく同じスタートラインに立てたんです。追いつけ追い越せで盛り上がることを期待しています。

次のページ