そこで、安倍首相は岸田氏と8月1日に改めて会い、政調会長ポストを正式に打診。岸田氏が見返りに求めた同派側近の小野寺五典防衛相、上川陽子法相、林芳正文科相、松山政司・1億総活躍担当相の4人入閣という異例の「満額回答」(岸田派議員)厚遇人事となったのである。

「わかりやすく言えば、細田派、大宏池会からそれぞれ出馬する見通しのはずだった来年秋の総裁選の枠組みから新麻生派を外し、岸田、額賀両派に安倍・菅連合の細田派が乗っかるシナリオ。改憲を捨て切れない首相が『俺の後は岸田さん』と禅譲手形を切ったのではないか」(ベテラン議員)

 ただ、もはや安倍首相では選挙に勝てないとの認識は公明党を中心に与党内で定着している。

「来年夏までやれればラッキーではないか」(閣僚経験者)との見方が強い。

 首相に近い自民党議員はこう言う。

「今回の組閣に麻生さんが頭にきて、『次の総裁選で必ず河野太郎を立ててやる』と吠えていました。麻生氏は河野外相を盾に今まで以上に巻き返しに躍起になる。負け覚悟のヤケクソ解散の博打を打てる状況でもない。早晩、総辞職に追い込まれるのではないか」(本誌・村上新太郎)

週刊朝日  2017年8月18-25号