林:小顔だと、若々しく見えていいですよね。山田監督が美保さんを「寅さん」にキャスティングしたきっかけは何だったんですか。

美保:山田監督の同級生で、すごく仲良しの小学校の先生が、ポルノ時代の美保純を大好きだったらしいんです。彼の教え子の作文をまとめた本に「先生は美保純が好きで、いつも美保純、美保純と言いながらブロマイドを見ている」って書いてあるのを山田監督がお読みになって、「おもしろいんじゃない?」と思ってくれたみたいで。

林:美保さんご自身の口から、ポルノ女優時代のことがバンバン出てくるから、おもしろいです。

美保:バンバン言ってます。にっかつロマンポルノは、ある意味文化の一つというか、映画の歴史の一つになってるから、誇りを持って「ロマンポルノを経て今がある」と言えます。でも、当時脱ぐ女の子は、楽屋で会うとみんな暗かった。うつっぽくなっちゃってる子も多くて。

林:でも、美保さんは健康的で明るいイメージで、「プレイボーイ」や「GORO」のグラビアに載って、ガンガン売れたんですよね。女の子が元気にかわいくなっていく時代の先駆けのアイドルでしたよ。

美保:そうかもしれない。不良っぽい野性的な女の子がいきなり芸能界に入っちゃった感じ。テレビ向きじゃない雰囲気だったと思います。

週刊朝日 2017年7月28日号より抜粋