職場内での優位性を背景に人格を否定するような言葉を上司は使ってはならない (※写真はイメージ)
職場内での優位性を背景に人格を否定するような言葉を上司は使ってはならない (※写真はイメージ)

 過激な発言が掲載された社内報がインターネット上に拡散され、炎上した。

「挨拶(あいさつ)すら出来ない馬鹿が多すぎる。(中略)家庭が劣悪な条件で育ったのだろう」
「個人的に張り倒した輩が何人もいる」
「生殺与奪の権は、私が握っている。(中略)どう生きて行くアホ共よ」

 これは「甘太郎」や「かっぱ寿司」「牛角」などの飲食店を展開する上場企業コロワイドの社内報の文面だ。発言したのは同社の蔵人金男・代表取締役会長。買収した会社の社員に向けての発言のようだが、ツイッターにその一部が抜粋されて投稿されると、「行き過ぎている」などと瞬く間に世間の非難が集まった。

 企業コンプライアンスに詳しい阪口徳雄弁護士は、

「これはいわゆるパワハラ行為ですよ。職場内での優位性を背景に人格を否定するような言葉を上司は使ってはならない。『馬鹿』『家庭が劣悪』『アホ』などは、パワハラの典型用語です。職場環境の悪化を招きます」

 騒ぎを受けて、コロワイドはホームページで謝罪。騒ぎの原因は「本来の意図が伝わら」なかったためとしたが、本来の意図とは一体……。コロワイドの広報担当者は神妙に言う。

「(社内報の)メインの内容はビジネスの基本となる考え方を述べたものです。(問題となった部分には)社会人として、あいさつは基本であり、大きな声で元気にあいさつできるように心がけよう、という意味が込められています。独特な言い回しが誤解を受けたのです」

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