──東ガスが「汚染が残る前提で都に土地を売った」と主張した資料がある。

「誰が言ってるんだ、そんなこと。オレの時にそんな話はない」

──浜渦さんが交渉した時代に決めたことではない?

「そんな話はない」

──東京都で水面下で話し合った、という記録が残っている。

「それは勝手に共産党が言っているから、そんな話になっているんじゃないか」

──水面下で土壌汚染について何を話したんですか。

「そんなことはない。オレの時はないって言ってんだろうが。(大声で)ないって言ってんだろ!」

 浜渦氏は激高し、ドアを勢いよく閉めて会社に戻っていった。

 一方、石原都政下で浜渦氏とともに「豊洲移転を決めた」人物がいる。99年から01年6月まで都の市場長を務めた大矢實氏だ。浜渦氏が「水面下」の交渉を行っていた時期でもある。当時、東ガスと何を話したのか。大矢氏を直撃した。

「豊洲移転を決めたのは私の時だ。石原知事に話し、彼が決断した。当時の東ガスとの交渉は土地を売る、売らないの話で、汚染処理については話していないが、原則は汚染者負担が当然のことだから。ガス工場跡だからベンゼンが出るのは当たり前で、それは承知していた。専門家に聞いたら汚染は簡単に封じ込められる、覆土すれば十分使えますという提言があり、市場として移転可能という判断をした。使えない土地を買うわけがない。水面下の話? まったく知らない。浜渦さんに聞いてよ」(本誌・小泉耕平、上田耕司)

週刊朝日 2017年2月24日号より抜粋