日米直近の4試合で3勝と圧巻の強さを見せる松山英樹選手。丸山茂樹氏は、彼の活躍によって、ゴルフ人気に火が付くのではと期待する。

*  *  *

 男子ツアーの「三井住友VISA太平洋マスターズ」(11月10~13日、静岡・太平洋C御殿場C)は松山英樹(24)の圧勝でした。2位に7打差をつける、通算23アンダーでの完全優勝。10月の「日本オープン」に続く国内2連覇でした。

 英樹は「日本では1日はまれば勝てる。PGAツアーは3日はまらないと勝てない」ってコメントしたみたいですね。米ツアーの方は、リアルな感じですけどね。まあ、そうは言っても日本でも1日大たたきしちゃったら優勝は無理ですからね。一発大きなアンダーで回って、あと3日は安定すれば簡単に勝てるという意味なんでしょうね。

 もう、ちょっとあんだけのレベルの選手になっちゃったら、何を言っても聞いてる側は「そうだな」ってなりますよ。英樹はいまや、そういう域に達してきたんだと思います。

 この優勝で、日米直近の4試合で3勝目。スポーツ新聞には「月収3億3420万円」という見出しが躍りました。これは英樹のすごさ、ゴルフのすごさを如実に表現してると思いますね。ほかのスポーツでこんなことってないし、日本ツアーで4週連続優勝したって1億2千万円ぐらいですから。この見出しには、読者のみなさんも結構まっすぐに「すげえな」と思われたんじゃないでしょうか。

 こういう金銭面のことだけじゃなくて、英樹に憧れる子どもたちや親御さんが増えてるでしょうね。「かっこいい」とか「自分の子にも松山英樹みたいになってほしい」とかね。英樹がゴルフ人気の起爆剤になって、そういう人がたくさん現れてきてくれるんじゃないかなという期待はありますよね。

 そうなるともう、英樹は一定の責任がある立場というか、模範となるようなことをしていかなくちゃいけないときが、もう来ちゃったのかなと感じます。早いですね、24歳ですから。

 
 マルジュニアをやっている中で、女の子の親御さんの方が熱を帯びてるというか、熱心だなあと感じるときがあります。これはやっぱり、国内の女子ツアーは38試合もあるから、「自分の娘もプロになって大活躍できるんじゃないか」と夢を見やすいってのはあるんじゃないですかね。チャンスが多いだけに。

 11月24日にはいよいよ男子ゴルフの国・地域別対抗戦「ISPSハンダ ゴルフワールドカップ」(オーストラリア・キングストン・ヒースGC)が開幕します。英樹と石川遼(25)のコンビには、ぜひ優勝を持ち帰ってほしいし、可能性は十分にあると思ってます。

 英樹はもちろん調子いいですし、遼だってそんなに悪くない。一時ね、遼がPGAツアーで調子悪かったときは「もうアメリカでは厳しいかな」という気がしましたけどね。ここ最近はけがの功名じゃないですけど、腰を痛めて休んだのがいい方向に向いたのかもしれない。お互いの状態がいいので、かみ合えば十分にチャンスなのかなという気がしますね。しかも遼は大舞台に燃えるタイプですし、英樹という力強いパートナーがいるので、いいテンションでゴルフができるんじゃないかと思います。

 僕もゴルフネットワークの放送で話をさせてもらいながら、応援しようと思ってます。

週刊朝日 2016年12月2日号

著者プロフィールを見る
丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

丸山茂樹の記事一覧はこちら