野党共闘に決断を下さない民進党を、作家の室井佑月氏は「鈍感という病気」だと批判する。

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 時事通信によると、

〈共産党の志位和夫委員長は10月27日の記者会見で、民進党の最大の支持基盤である連合が共産党との共闘に否定的な姿勢を示していることに関し、「民進党は連合の要求に従う道を選ぶのか、野党共闘に真剣に取り組む道を選ぶのか、前向きの決断をしてほしい」と述べた〉

 らしい。当たり前だ。もっと怒っていいくらいじゃ。

 政治をやってるくせに世の中の空気も読めない民進党は、鈍感という病気なんだから。10月28日の産経新聞(電子版)によると、この志位さんの発言を受け、民進党の榛葉賀津也(しんば・かづや)参院国対委員長は、

「公党の代表が『(共産党と連合の)どっちを取るか』といわれたわけだが、もう少し慎重に発言してほしい」

 と述べたらしい。

 

〈さらに「私も今日、ナポリタンを食べるか広東麺を食べるか悩んだが、昼の定食でもあるまいし」と語り、志位氏が「連合指導部」という言葉を使ったことに関しても「連合には『執行部』はあっても『指導部』はない。言葉の使い方も慎重にしてほしい」と苦言を呈した〉

 さすが自分らを牛耳っている組織のことは詳しいですな。でもって、国民の多くが固唾(かたず)をのんで見守っている共闘についてのたとえが、自分がその日食べたランチだって!

 てか、ナポリタンか広東麺で悩むな! ナポリタンは喫茶店、広東麺は中華屋じゃ。迷うのは一瞬、ナポリタンかミートソース、広東麺か天津麺かぐらいにしてくれよ。

 さすが、民進党の男。いまだもって、市民の側につくかどうか、そっから悩んでいるグズな野党の。

 あたしたちの声の代弁以上に、優先順位がありそうな民進党はもういらん。

 都知事選では、せっかく自民党の分裂選挙となったのに、政策をまるで考えていない鳥越俊太郎さんをぎりぎりで引っ張り出した。

 

 この間の衆議院の補欠選挙、東京10区では、JR池袋駅前で行われた野党4党の党首クラスがそろった街頭演説会に、民進党の候補が姿を現さなかった。

 最近、野党が勝った選挙といえば、新潟県知事選だけど、民進党は支持母体の連合に気を使って、米山隆一さんを推薦しなかった。

 それでも、共産、自由、社民の3党が、原発再稼働慎重を訴え頑張った。そして、選挙戦も終わりに近づき勝ちそうな雰囲気になったところで、蓮舫代表が登場。このニュースは、あたしを逆に不安にさせた。

 民進党が性懲りもなく出しゃばって、せっかく熱くなってきた米山陣営に水を差すんじゃないかと思って。

 民進党の議員たちは、忘れてしまったのか? 参議院選で、共産党が1人区での立候補をやめてくれたから、善戦したところがたくさんあったことを。始終、大人な態度であった共産党に、恩義や敬意を少しも払おうとしないのはなぜ?

 政治家うんぬんいう前に、そういうところ、人間として尊敬できない。

週刊朝日 2016年11月18日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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