ミッツ・マングローブ「帰ってきた煽り屋・古舘伊知郎と様式美」 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

ミッツ・マングローブ「帰ってきた煽り屋・古舘伊知郎と様式美」

連載「アイドルを性せ!」

このエントリーをはてなブックマークに追加
帰ってきた煽り屋(※イメージ)

帰ってきた煽り屋(※イメージ)

 ドラァグクイーンとしてデビューし、テレビなどで活躍中のミッツ・マングローブさんの本誌新連載「アイドルを性(さが)せ」。今回は、古舘伊知郎さんを取り上げる。

*  *  *
 いつの時代もアイドルは、「キャーキャー」言われて有頂天になり、さらに輝きながら存在してきました。そして、その「キャーキャー」を煽るのは、MCと呼ばれる言葉のプロたちです。演歌であればイントロ紹介。スポーツであれば実況。DJや場内アナウンス、ウグイス嬢に口上・前説etc……。嘘臭くても、わざとらしくても、彼らの言葉巧みな「煽り」というジェット気流に乗って、アイドルたちは大空へと飛び立ち、観る者は高揚する。それがひとつの「様式美」だと私は思います。

 舞台も画面も客席も茶の間も、段差や境目がないように見せることが正義になった感のある昨今。一方で客側の「客意識(金払って観てやってるんだぞ的な)」は、残念ながら無粋な方向に増長しています。「平等意識」や「権利意識」の産物といったら、自分本位な妬み嫉みばかり。そりゃ街中「激安店」だらけになるはずです。

 そんな中、古舘伊知郎さんがテレビ(報道はむしろテレビからは断絶された場所)の世界に帰ってきました。もし彼が再び、あの「煽り」を復活させてくれれば、舞台と客席に本来あるべき「壁」を取り戻せるのではと期待せずにはいられません。テレビの喋り手というのは、もっと他人の付け入る隙がないぐらい喋っていたはずです。自分の言葉に覚悟を決めて、過激ぶっただけの「本音」や「ぶっちゃけ」とは違う、一流の言葉を自由自在に操っていました。存在自体が倫理や秩序になっていた徹子さんやたけしさん。テレビ=視覚的異空間をフルに活かした芳村真理さん。紅白の進行を独断で変えた鈴木健二アナウンサーなど。彼らが発信する言葉や画(え)によって、世間の情報・感情処理能力も進化してきました。


トップにもどる 週刊朝日記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい