松山英樹選手をはじめ、ゴルフ界で相次ぐリオデジャネイロ・オリンピックの出場辞退。日本代表ヘッドコーチの丸山茂樹氏は、今回のゴルフ復活はタイミングが悪かったという。

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 7月4日、松山英樹(24)がリオデジャネイロ・オリンピックの出場辞退を表明しました。ジカウイルスによる感染症への懸念や治安の悪さが、その理由です。日本代表ヘッドコーチの僕からすれば非常に残念ですけど、こればっかりは仕方ないです。

 発表する数日前に電話で話して、英樹の意向は聞いてました。苦渋の決断だってことは十分に伝わってますし、僕が英樹の立場でも、リオだと厳しいと考えたかもしれません。英樹はまだ若いですから。僕のいまの年齢だったら、「せっかくオリンピックに出られるんだから、よーし行ってやろう」なんて気持ちにもなるんですけどね。

 世界のトッププロの出場辞退が相次いでいます。リオからゴルフをオリンピック競技にカムバックさせたのは、ミスだったんじゃないかなあ。まあ、僕は最初からそう思ってたんですけどね。ロンドンや東京から復活させれば、少なくとも治安や健康の面で辞退する人は出ないでしょうから、復活成功を印象づけて、次の大会に向かえると思うんですよねえ。

 そもそも我々はプロなんで、やっぱりオリンピックが最高の大会ということにはならないんですよね。最初に「112年ぶりにゴルフがオリンピックに復活する」って聞いたとき、「アマチュアの話だろうな」と思ったぐらいですから。

 
 それでもロリー・マキロイ(27)たちが辞退して出場できそうなアイルランドのパドレイグ・ハリントン(44)のように、「とても光栄だ」と受け止める人もいる。日本でも「出たい」と言ってくれてる選手もいますから、7月19日の選手発表を経て、リオで盛り上げてきますよ!

 なにしろ、リオと東京の2大会でまたゴルフがオリンピックから消えてしまわないようにしないといけないですよね。

 僕の今シーズンのツアー初戦となった「長嶋茂雄招待セガサミーカップゴルフトーナメント」(6月30日~7月3日、北海道・ザ・ノースカントリーGC)は72、77で予選落ちでした。近年ずっと苦労してきたティーショットが非常によかったんですけど、パッティングのミスがあまりにも多くて。入らないから、アプローチにまで響いてきてしまって。セガサミーさんにはお世話になってますから、いつも4日間しっかりプレーしたいと思ってるんですけどね。またケガと向き合いながら、頑張っていきます。

 この試合の途中で、アメリカの歴史あるジュニアの大会で優勝した息子の奨王(ショーン・16)が北海道に遊びに来ました。7月5日には小樽のゴルフ場で一緒にラウンドしました。コースマネジメントの面で成長を感じました。今後も高い目標に向かって、一歩ずつ前進していってほしいですね。

週刊朝日  2016年7月22日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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