「せっかく知り合っても、名前や連絡先を交換しないままではそれで終わり。もったいないです。一度きりで終わらせないために、『名刺』を作りましょう」

 一番のポイントは、「名前の上に入れる文言」だ。

「『イタリア語勉強中』『お笑い番組が好きです』といった、趣味や人柄がわかるものを入れてください。そこから会話や交友が広がります。昔の仕事の肩書を入れるのは絶対にNGです」

 昔勤務していた会社や肩書に固執しない──。実は、これが退職後の友人作りの鉄則だ。過去の栄光にとらわれている人は、退職後に友人を作りにくいと松本氏は指摘する。

「『○○銀行に勤めていて』『社長をやっていまして』では、相手が引いてしまうだけ。それでは到底、友情は育めません。相手はあなたがどんな人柄かを知りたいのです。定年後は過去の肩書を忘れましょう」

 定年退職とともに、自身も新しいスタートと考えることが重要だ。

「自慢ではなく、笑いを取る。おもしろい人は異性にも同性にもモテますよ」(同)

 すてきな仲間が見つけられますように。

■友人作り心得10カ条
第1条 まず自分から行動する“きょういく”(今日行くところ)と“きょうよう”(今日の用事)を心がける
第2条 地域社会を知る
第3条 自治会や町内会のイベント・行事に顔を出し、マンションの管理組合などにも参加する
第4条 好きなこと、やりたいことを考える
第5条 最初から難しいことはしない
第6条 仕事も役職もリセット。素の自分で勝負
第7条 自分の意見を言い、相手を否定しない
第8条 セカンドライフ用の名刺を作る
第9条 メールや携帯電話などIT活用能力を高める
第10条 自分に合わないと思ったらやめる 
(松本すみ子氏作成)

週刊朝日 2015年12月4日号より抜粋