“上品なお母さん”加藤治子さん死去 最後の言葉とは…?

お悔やみ

2015/11/11 16:00

 しかし、私生活では不遇を託つ。53年に加藤と死別。5年後に俳優の高橋昌也と再婚して劇団「雲」を結成したが、その後離婚して退団する。

 フリーとなってからは、テレビドラマを中心に活躍する。94年に始まった内田康夫サスペンス「浅見光彦シリーズ」(TBS)では、光彦の母親役を務めた。主演していた辰巳琢郎さんはこんな言葉をしたためた。

「足かけ7年間、不肖の息子として面倒を見ていただきました。どんな山奥でもきちんと着物を着こなし、凛とした佇まいの加藤さんの存在感は圧倒的で、日本女性の鑑だと何度思ったかしれません」

 辰巳さんが40歳を過ぎて光彦役を卒業しようと決めたとき、最初に加藤さんに報告した。「どうしてやめるの」と、やんわりとした口調で叱られたという。

「本当にごめんなさい。どうか安らかにお眠り下さい。お母様のような静かで激しい演技の出来る役者を目指して、これからも頑張ります」

 俳優の風吹ジュンさんは、加藤さんと親交の深かった脚本家の向田邦子の2作品で共演している。

「寺内貫太郎一家2」では長女役として出演して以来、プライベートでも「お母さん」と呼ぶ間柄に。その後、「阿修羅のごとく」(79、80年・NHK)でも顔を合わせた。葬儀にも参列した風吹さんも、追悼文を寄せてくれた。

「とにかく美しくて、皆さんに見ていただきたいほど眠るように穏やかなお顔でした。本当の親子のように『お母さん、お母さん』と呼ばせていただけたことが、とても幸せです。何時も電気をつけたままお休みになるそうですが、最後のお言葉は『今日は眠るから電気を消して』とおっしゃったそうです」

週刊朝日 2015年11月20日号

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