今年、タイガー・ウッズ(39)=米=に並ぶ大会最少スコアで「マスターズ・トーナメント」を優勝したジョーダン・スピース(22)=米=。普段は22歳の若さで堂々としたプレーを見せるが、実はメンタル面に弱さがあるのかもしれないと、丸山茂樹氏は指摘する。

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 いやあ、うれしいですね。10月3日の「第9回丸山茂樹ジュニアファンデーションゴルフ大会」に、これまでで最多の328人が応募してくれました!

 少しずつ、みなさんに評価されてきてるのかな。一つでも多く、日本のジュニア年代が出場できる試合をつくりたいとの思いで始めた「マルジュニア」ですけど、こうやって応募者数が増えてるってことは、僕の目指してるところに、みんなが呼応してきてくれてるんでしょうね。

 ここで一気に「日本一の大会にします」なんてことは言いません。ちょっとずつ力をつけて、ジュニアゴルファーのためになるようなことができたら、と思っています。

 さて、米PGAツアーです。プレーオフシリーズ第2戦・ドイツバンク選手権(9月4~7日、米マサチューセッツ州TPCボストン)は、26歳のリッキー・ファウラー(米)が通算15アンダーで今シーズン2勝目を飾りました。

 この試合、何より驚かされたのが、ジョーダン・スピースの2週連続予選落ちです。今シーズンのメジャーで2勝をあげたスピースが2試合連続で予選落ちしたのは、アマチュア時代も含めて、米ツアーで初めてだそうです。

 
「自分の長所はメンタル面だと思ってるけど、この2週間はメンタル面のエラーで、悪い意味での初体験をしてしまった」

 スピースはこう言ってます。いやいや、22歳の若さであの堂々たる戦いぶりですから、僕も彼の最大の長所はメンタル面だと感じてました。ハンパないな、と。それがここへ来て2週連続で決勝へ進めないなんて。全米プロ選手権が終わってからプレーオフ初戦までの2週間で、何かあったんでしょうか。あちこちに引っ張りだこで、体を休められなかったのかな。

 ゴルフ好きのみなさんならご存じかと思いますが、彼はショートパットのとき、アドレスが決まったらボールを見ず、カップだけ見て打つんです。ああいう変わったことをするってのは、ほんとはどこかにメンタル面の弱さがあるからなのかなあ、なんて思ったりもしますけど。これはもう本人のみぞ知る、ですね。

 ゴルフって、ほんとに何があるか分からないです。そしてまた、タイガー・ウッズのすごさを感じざるを得ないです。彼はこれまで327試合に出て、予選落ちは23度。確率は約7%です。スピースは約19%。しかもタイガーは今シーズン、状態が最悪の中で無理やり出た試合もあって、4度も予選落ちしてます。それを含めても7%なんですから。ちなみに僕は276試合で76度の予選落ち。約28%。そんなもんですよ。

 松山英樹(23)は最終日、首位と5打差の6位でスタートしましたが、優勝争いに加われず、通算4アンダーの25位。上がりの4ホールで四つスコアを落としましたからねえ。

 14番ホールでチップインバーディーをとったところに、15番の会心の第2打がピンに当たって戻ってくるアンラッキーで、ボギー。あそこでメンタル面が崩れちゃったのかな。でも本人は「ゴルフが上向いてる満足度の方が大きい」って言ったそうですね。残り2試合で、まだまだ上昇してほしいですね。

週刊朝日 2015年9月25日号

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丸山茂樹

丸山茂樹

丸山茂樹(まるやま・しげき)/1969年9月12日、千葉県市川市生まれ。日本ツアー通算10賞。2000年から米ツアーに本格参戦し、3勝。02年に伊澤利光プロとのコンビでEMCゴルフワールドカップを制した。リオ五輪に続き東京五輪でもゴルフ日本代表監督を務めた。セガサミーホールディングス所属。

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