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五輪エンブレム再公募も デザイナー「怖くて応募できない」の声

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週刊朝日

当面、招致エンブレムを変更したものを使う(東京五輪組組織委員会提供) (c)朝日新聞社 

当面、招致エンブレムを変更したものを使う(東京五輪組組織委員会提供) (c)朝日新聞社 

 ああ、やっぱり──。佐野研二郎氏(43)がデザインした東京五輪エンブレムの取り下げに、「当然。やむなし」と受け止めた人も多かったのではないか。それほど事態は悪化していた。

 信用失墜が決定的になったのは、8月28日に開かれた2度目の会見だ。大会組織委員会は、佐野氏が応募した「原案」を公表。赤い丸が右下に置かれていたが、国際オリンピック委員会(IOC)と組織委の調査で類似する作品が見つかり、組織委が修正を依頼。佐野氏は、赤い丸を右上に移動させたが、今度は「躍動感が薄まった」との理由で再修正を依頼し、その結果、発表されたエンブレムが完成したと説明した。

 組織委としては「ベルギーのリエージュ劇場のロゴの盗作ではない」と主張したはずだった。だが、原案からの変更が大きく、ネット上では「佐野氏ありきの出来レースじゃないか」との声が噴出。加えて、佐野氏が街頭での使用イメージ画像を無断転用していたことも発覚し、もはやボロボロ。9月1日、佐野氏の申し出によって取り下げが決まった。

「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました」

 自らのホームページにそうコメントを発表した佐野氏。取材には一切応じることはなく、予定されていた作品展を自ら延期するなど、表舞台から姿を消した。

 異常なまでのバッシング。都内で働く男性デザイナー(28)は、

「エンブレムやロゴは、左右のバランスなど押さえるべきポイントがある。今回のエンブレムは基本に忠実で、非常に安定していてカッコいいと思う。ネット上に『自分も作ってみました~』と軽い調子のロゴが溢れ、デザインが理解されていないことが悔しかった」

 と嘆く。佐野氏は、エンブレムは「T」以外のアルファベットにも展開できると説明していて、幅広く使えて、息の長いデザインとなった可能性は高い。だが、別のデザイン関係者は、

「佐野さんのエンブレムはメッセージがあいまいで受け入れにくい。組織委の意向で原案から大きく変わったと知り、逆に納得した」

 と話す。多くの人を惹きつける明確なメッセージが感じられなかったという。


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