安保関連法案の致命的なほころびが、また一つ明らかになった(※イメージ)
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 安保関連法案の致命的なほころびが、また一つ明らかになった。

 安倍政権が集団的自衛権行使容認のよりどころとする、内閣法制局作成の「1972年政府見解」(以下、「見解」)。作成に携わった幹部でただ一人存命の角田(つのだ)礼次郎・元内閣法制局長官が、本誌の直撃に長い沈黙を破った。

 当時、田中角栄政権で憲法解釈を担当する法制局第一部長として「見解」の作成に関わり、その後は最高裁判事などを歴任した角田氏。「見解」について、こう明言した。

「集団的自衛権をいささかでも認めるなどという考え方は、当時は全然なかった。与党、野党、内閣法制局を含めてね」

 8月13日、都内の自宅で取材に応じた角田氏。転んで痛めたという左腕のギプスが痛々しかったが、口調は明快だった。「40年以上前のことだから」とこれまで取材を断ってきたというが、自身の印鑑も押された手書きの「見解」の写しを見せると、ポツポツと胸の内を語り始めた。

「重大な案件なら、法制局内でも、総理や官房長官との間でも議論になるし、さすがに覚えているはずだが、記憶にない。当時はあまり問題にならなかったんでしょう。集団的自衛権が何らかの形で認められるなんてどう考えてもなかったし、そういう主張をした人もいなかった」

 記憶にないのも無理はない。「見解」は、集団的自衛権の行使はできないという従来の憲法解釈を述べたものにすぎず、目新しいものではなかったからだ。

 ところが昨年、42年ぶりに「見解」を〝発掘〟した安倍政権は、ここに集団的自衛権の行使を限定容認する考え方が含まれているという、真逆の主張をし始めた。元総務官僚で、国会でこの問題を追及してきた民主党の小西洋之参院議員が解説する。

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