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 着物を着て帯を締めているからこそ、出る声があるかもしれない──。

 杏さんは、長編アニメーション映画「百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~」で葛飾北斎の娘・お栄の声を担当するにあたり、実際に着物を着てからアフレコに挑んだ。「百日紅」は、2005年に46歳でその生涯を閉じた漫画家であり江戸風俗研究家でもあった杉浦日向子さんの代表作。以前からこの漫画のファンだったという彼女は、「今回は、元々好きな時代が描かれていたせいか、あらためて調べものをしたり、何かを買いに走ったりせずにすみました」と話すが、新しい役を引き受けたときはいつも、“自分ができる最大限の準備をする”ことを心がけているとか。

「監督には、『監督が、“最高”と思えるところまで、厳しく演技指導してください』とお願いしました。普段、映画やテレビでアフレコをするときは、撮影が終わってしまっていることが多いので、衣装も身につけず、メイクもしない状態では、瞬時に役の声が出なかったりしたんです。それは、自分の中でも課題だと感じていて……」

 彼女が女優でなく、違う仕事をしていたとしても、きっと優秀な成果を上げていたことだろう。勉強熱心で、しかも謙虚。とはいえ、作品や時代に対する視点が独特なので、デスクワークよりも、表現者のほうが合っていることは間違いないのだが。

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