松尾スズキの功績? クドカン、阿部サダヲが生まれた理由 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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松尾スズキの功績? クドカン、阿部サダヲが生まれた理由

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週刊朝日
劇団ではワザの見せ合い?(イメージ写真) 

劇団ではワザの見せ合い?(イメージ写真) 

かむろば村へ 1

いがらしみきお著

978-4091818102

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 人に対する臆病さが減っていったこと。それが、年齢を重ねて感じた大きな変化なのだそうだ。今でこそ、演出家、俳優、コラムニスト、小説家、映画監督、脚本家など、様々な肩書で活躍し、主宰する「大人計画」出身の俳優や脚本家も映画やドラマ、舞台に引っ張りだこの松尾スズキさん。

 しかし、劇団を始めたばかりの頃は、自分のやりたいことがちゃんと伝わるのか不安だったという。

「“演出する”というのは、“伝える”ことだと僕は思うんです。映画(『ジヌよさらば~かむろば村へ~』)が完成して、ロケでお世話になった福島県奥会津の柳津町で試写会を開いたとき、映画を観ながらおじいちゃんおばあちゃんがいっぱい笑ってくれた。それがとても嬉しかったです」

 10年前の監督デビュー作となった「恋の門」は、ベネチア国際映画祭に正式出品され、国内外で高い評価を受けた。

「でも、今観るとカット割りが性急で、丁寧さが足りないと思う(苦笑)。そこを面白がってもらえたのかもしれないけれど、今はもっと丁寧に、キャラクターや、風景を見せていくことに興味があります。劇団でも、昔の作品を再演すると、たいてい上演時間が10分は延びてしまう。たぶん昔は、よっぽど俳優に急がせてしゃべらせていたんだな、と(苦笑)」

 もとが漫画家志望のせいか、戯曲や小説を書くときは、キャラクターを考えることから始めることが多い。今回の映画は、原作ありきではあったが、監督する上で、“キャラクターのパッションが、物語の中でつながっているかどうか”には腐心した。

「映画の場合、伝えなきゃならないことは、シナリオの段階でだいたいできあがっているものなんです。あとは、俳優の演技とか風景とか、そういう“生もの”の部分がうまくつながって、物語が流れているかどうか。それさえできれば、自ずと“伝えることが演出である”という僕の役割は果たせることになるので」

 オファーを受けてから、実際にその仕事に取りかかれるのは、だいたい2年後。順番にやってくる仕事に、「あれ、こういう仕事も受けてたのか」と驚くことも少なくない。そういった“言葉”や“映像”、“空間”“音楽”などを駆使した活動のほか、大人計画は、宮藤官九郎さん、阿部サダヲさんなど、多くの逸材を発掘し、育成もしてきた。

「僕がやってきたのは、単なる“場所づくり”ですよね。普段はぼんやりしてて臆病だけど、暴れたい欲求を抱えたヤツらが“いやすい場所”がたまたま大人計画だった。外では窮屈や不自由を感じていても、劇団では、何でも自由にやってよかった。最近は、みんな外で活躍してるから、劇団公演は、習得したワザの見せ合いみたいになってますけど……。でも、つまらないことをするとみんな一斉に冷たい目で見るという、怖い場所でもあるんです(笑)」

週刊朝日 2015年4月10日号


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