谷原章介は「胡散臭い役を演じると見事にハマる」? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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谷原章介は「胡散臭い役を演じると見事にハマる」?

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 ドラマ評論家の成馬零一氏は、NHK土曜ドラマ『限界集落株式会社』の作品と役者の魅力についてこう語る。

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 NHK土曜ドラマは『ハゲタカ』以降、大人が楽しめる社会派娯楽作品を多く放送している。話数も5話前後と短いために中だるみが少なく、見応えのある隠れた傑作が多い。

 現在放送中の『限界集落株式会社』もその一つ。過疎の村に怪しい経営コンサルタントが現れて、村を丸ごと会社法人にしてしまう物語だ。

 関東地方の山奥にある止村(とまりむら)は人口50人弱の小さな集落。市町村合併後、病院とバスは廃止に向かい、消滅寸前の限界集落と化していた。

 村で暮らす大内美穂(松岡茉優)は、就職活動をしていたが、なかなか仕事が決まらない。そんな最中、祖父が突然、命を落とす。

 祖父の葬式で、13年前に家を出ていった父の正登(反町隆史)と美穂は再会する。正登は自分が投げ出した有機農業を続けていた祖父の思いに応えるために、再び美穂と農業をはじめようと村に戻る。しかし、現実は厳しく畑は存続の危機。そこに、謎の経営コンサルタント・多岐川優(谷原章介)が現れる。

 多岐川は直売所の設置や子供がキャベツ狩りを楽しめるバスツアーといった新しいビジネスを起こし、村にお客を呼びこむことに成功する。

 そして、村の人々に村を株式会社にする集落営農を提案するのだ。

 原作は、2011年に発表された黒野伸一の小説。よくある都会と田舎という対立構造とは違い、流通を含めた新しいベンチャービジネスとして、農業のあり方がシミュレーションされている。 こういった地場産業とエンターテインメント(ゆるキャラやアイドル)による地域復興にインターネットが絡むという話は、すでに連続テレビ小説『あまちゃん』(NHK)でやり尽くされていて、アイデアとしては目新しいものではない。農作業の場面が続くため、一見地味な話にも見える。しかしその地味な農作業の場面と多岐川の展開する大胆なアイデアのコントラストによって“商売としての農業”が展開されるのが本作の面白いところだ。

 役者もそれぞれ魅力的だ。

 正登を演じる反町隆史は、1990年代に人気若手俳優として『GTO』(フジテレビ系)等の作品で、男前の姿を披露していたが、今作では、家族を捨てた情けない父親を演じている。筒井道隆や吉田栄作といった90年代に活躍した若手俳優を父親役で起用することが多いのがNHKドラマの隠れた面白さだ。

 現在、『警部補・杉山真太郎~吉祥寺署事件ファイル』(TBS系)で明るいお父さん刑事役を演じている谷原章介は、借金を抱えた胡散(うさん)臭い経営コンサルタントを好演。

 堅実な農家をかき乱すトリックスター的役割だが、こういう胡散臭い役を演じると谷原は見事にハマる。

 美穂を演じるのは、眉毛が太くて目力があるきりっとした顔が印象的な松岡茉優。『あまちゃん』で演じた埼玉出身のアイドル・入間しおり役が有名だが、今期は、『問題のあるレストラン』(フジテレビ系)でも、引きこもりだった女性シェフを好演している。若手女優の中では幅広い役柄を演じる名バイプレイヤーだが、昨年の時代劇『銀二貫』(NHK)以降、主演も増えている。

 本作では主演らしく、相手の演技をしっかりと受け止める貫禄のある演技を披露。今後は実力派女優として、一気に注目が集まるだろう。

 今週で最終話となってしまうのは残念だが、コンパクトなサイズゆえに、焦点の定まった良作である。

週刊朝日  2015年3月6日号


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