GPファイナル優勝も「羽生結弦は万全ではない」 その理由は? 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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GPファイナル優勝も「羽生結弦は万全ではない」 その理由は?

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GPファイナルを制し、金メダルを掲げる羽生選手(写真:gettyimages) 

GPファイナルを制し、金メダルを掲げる羽生選手(写真:gettyimages) 

 逆境になればなるほど、彼はとんでもないものを見せてくれる。12月14日(日本時間)にスペイン・バルセロナで行われたフィギュアスケートGP(グランプリ)ファイナル男子で、羽生結弦(20)が今季世界最高得点で1位となり、日本人初の連覇を果たした。五輪王者がその年のGPファイナルを制したのは、史上初だった。

「滑っていて幸せだった」

「最後まで体を存分に使い切ることの幸せも感じた」

 久々にスッキリした笑顔を見せた羽生は、「幸せ」という言葉を繰り返した。

 11月の中国杯で、練習中に他の選手と激突して倒れ込み、頭やあごから流血。その直後に頭に包帯を巻いて競技に出た姿は、「感動」とされながらも物議を醸した。本人は「脳震とう」だった可能性は否定するも、左大腿挫傷など全治2~3週間のけがの影響は大きかった。その後に強行出場したNHK杯でもミスが続いて4位となり、ギリギリの最下位でGPファイナルに滑り込んだ。

 まだけがの影響を心配する声が多いなかでの、見事な復活劇だった。今季、ここまで成功させていなかった4回転ジャンプも、今回はショートとフリーで計3回、完璧に跳んだ。出来栄え点も多く稼ぐ完成度で、ショートもフリーも最後のジャンプでミスはあったものの、2位に34点もの差をつけ優勝。異次元の実力を見せた。現地で取材した記者はこう話す。

「4回転サルコーをあんなにきれいな形で跳ぶことができたのは、羽生選手のこれまでの競技の中でも初めてだったでしょう。現地でも羽生選手の演技は大絶賛で、記者席からも、本来あまりない拍手が起きていました。地元スペイン出身のハビエル・フェルナンデス選手の優勝への期待も大きかったのですが、会場中が羽生選手にスタンディングオベーションで大きな声援を送っていました」

 ようやく、完璧に近い形で披露できた羽生のフリー曲は「オペラ座の怪人」。ルール改正で、今季から解禁されたボーカル入りの楽曲を使用している。

「ボーカル曲は、音楽に選手の表現力が負けてしまって凶と出るケースもあるのですが、羽生選手の場合は、持ち前の音楽性と表現力との相乗効果でますます劇的な仕上がりになりました。昨シーズンとはまた違った、男っぽくセクシーな雰囲気を魅せています。完璧に滑りきれば、歴代最高得点も狙えます」(スポーツ記者)

 当初は演技前半の2回の4回転ジャンプに加え、基礎点が1.1倍になる後半でも4回転を組み込むとされていたが、それはお預け。

「羽生選手は4回転で転倒しても、他の要素で加点が取れます。今回のように4回転を3回入れなくても、今季は十分に勝てる。ただ、彼はそこで抑えることをしないタイプ。今後、年末にある全日本選手権か来年の世界選手権には、三つ目の4回転ジャンプにも挑戦する気でいるはずです」(スケート関係者)

 これまでも、逆境に追い込まれては、ドラマチックな展開を見せてきた羽生。また、すごいものを見せてくれるのではないかとつい期待してしまうが、

「今シーズンに入って腰も悪化させていますし、決して彼の体は万全ではありません」(同前)

 羽生の今後について、先の現地取材記者はこう話す。

「もうチャンピオンなのだから、自分の体を大事にして、あまりむちゃはしないでほしい。自らを潰してしまわないためにも、“2回の4回転ジャンプで勝つ”という賢さも身につけてほしいですね」

 挑戦か、戦略か。はかなげで華麗な演技で魅了してきた“王子”は、勝ち方に悩める王者になっていた。

週刊朝日  2014年12月26日号


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